再建には親会社・トヨタ自動車が支援も...イバラの道か
国交省も報告書の内容を深刻に受け止めており、8月3日には道路運送車両法に基づき本社などの立ち入り検査に踏み切った。
今後、型式指定の取り消し対象をさらに拡大するなど厳格な処分を下す方針で、日野自は一気に存亡の危機に追い込まれることになる。
「当社を信じてくれた人を裏切った。状況を深刻に受け止めている」
小木曽聡社長は調査結果を発表した8月2日の会見で、こう陳謝した。日野自は3か月以内に執行体制を含めた対策を取りまとめるとしているが、この先はイバラの道だ。
日野自再建は親会社であるトヨタ自動車が全面支援するとみられる。
ただし、報告書は「『トヨタグループだから大丈夫』とのおごり」も社内の風通しの悪さを招く一因になったと指摘。小木曽社長を含め、歴代社長の多くをトヨタからの「天下り」が占めており、親会社出身の経営陣と現場の溝も指摘され、トヨタの「介入」が吉と出るとは限らない。
波紋は広がり続けている。
日野自の不正拡大を受け、日野自からエンジン供給を受けていたいすゞ自動車はバス4車種の出荷を新たに停止した。同じく、日野自製エンジンを使っていた建機メーカーもクレーン車や油圧ショベルなどの出荷や新規受注を停止する事態に追い込まれている。
消費者、取引先の信頼を失った日野自に再生の道は残されているのか。(ジャーナリスト 済田経夫)