「ステップアップのため転職したい」と申し出てきた次世代リーダーの部下...どう対応する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE 9】(前川孝雄)

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「立つ鳥跡を濁さず」の姿勢を促し、転職後のつながりを大切にする

   転職していく部下を前向きに送り出すには、次の2点に留意することです。

   1つは、「立つ鳥跡を濁さず」の姿勢を促すこと。

   本人がよい仕事を全うし、消化不良にならないよう、しっかりと最後まで支援しましょう。また、周囲のメンバーがスムーズに仕事を引き継げるように、必要な調整を行うことです。本人が心置きなく卒業できるように、また周囲が気持ちよく送り出せるように十分な配慮をしましょう。

   もう1つは、上司と部下の関係は解消しても、転職後も協力や応援はすることを伝えておくことです。

   現在の仕事に関連する分野で引き続き活躍するのなら、転職後にアライアンスを模索するなど、よい関係を継続する道をめざします。それは、一人新天地に向かう本人にとっても心強く感じるはずです。転職後に不安や困ったことがあれば、いつでも相談に応じるので、時々は様子を報告してほしい旨も伝えるとよいでしょう。

   これだけ変化のスピードが激しい時代。プロパー社員のみ、純血主義でビジネス展開することには限界があります。

   異業種の社員同士が交流・協働しあうオープンイノベーションの効果も期待されています。企業が転職OB・OGの同窓会を組織し、定期的な情報交換やアライアンスを紡ぐアルムナイ(alumni)ネットワークも盛んです。

   優秀な社員の転職を機に、会社としてこうした仕組みづくりを検討することもよいでしょう。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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