頼みにする社員の転職は常に起こると覚悟し、気持ちよく送り出す
以上のことから、上司の心情的にはつらいでしょうが、頼みにする社員の転職は常に起こりうるとの覚悟が必要です。
労働力人口が減少する一方で転職市場が活況となり、働き手のキャリア意識が高まるなかでは、個と組織の関係、特に力のある社員と企業の関係は対等に近づいていると言えます。もはや社員を無理やり会社に縛りつけ、とにかく一心に働いてほしいというマネジメントでは、社員は定着しません。
本人が転職を迷い、相談をしてきた段階ならば、何が本人のためか、社内でのよきステップアップの道も含め、話し合うことは有効です。しかし、本人が転職の意思を固めているなら、こちらも気持ちを切り替えることです。
最近では、一時、ひとつの会社で働き、次に他の会社で経験を積んで力をつける。それから、また元の会社に戻って活躍するといった、出戻り転職事例も現れています。会社の人事制度として、出戻り社員を歓迎する動きも出てきています。また、転職というキャリアの縦軸での転換に加えて、兼業や副業といった横軸での複線化も次第に増えています。
したがって、社員一人ひとりがキャリアを磨き成長する過程で、いま任せている仕事がどういう意味を持つのかを考えたうえで、マネジメンにあたることです。場合によっては、いまは気持ちよく送り出し、転職の成功を応援することも大切なのです。