特定産業への公的資金投入、「市場をゆがめてはならない」
ただ、世界貿易機関(WTO)は貿易を阻害する補助金を禁じており、日米は、中国の国有企業などへの不透明な補助金を批判してきた。WTOは、安全保障上の理由でルールの例外を設けることを認める規定はあるが、それを乱発すれば、自由貿易は形骸化しかねない。
こうした点について、朝日新聞の社説(8月5日)は、米国がトランプ政権時代に鉄鋼・アルミ製品にかけた不合理な追加関税はいまだに撤廃していないことを挙げ、「自らがルールを軽視しながら、国際社会に順守を唱えても、説得力は乏しい」と批判。
毎日新聞の社説(8月9日)も「経済版2プラス2の声明は『ルールに基づく国際経済秩序作り』を掲げる。貿易や投資に関わるルールの再構築が求められるのは確かだが、自国の利益を優先するばかりでは、理解を得られない」と指摘している。
また、日米が巨額の公的資金を惜しげもなく特定産業、特定企業に投じるのは異例のことで、日本経済新聞の社説(7月31日)は「民間への過度な介入が市場をゆがめては本末転倒だ。限られる財源にどうメリハリを付けて効果を上げるかも含め知恵が求められる」とくぎを刺している。(ジャーナリスト 白井俊郎)