大切なのは「こころ」を育むこと
さらに、加地氏は「大切なことは、仏壇という『物』ではありません。祖先と出会う『こころ』」なのだと諭します。一条氏も次のように答えます。
(一条氏)「わたしも、仏壇の素晴らしさとは、亡くなった祖先と出会う『こころ』を育てるところだと思います。また、仏壇はマルチメディテーション・ボックス。何でも取り込んでしまう函(はこ)―仏像や位牌はもちろん、経典、蝋燭、線香、花、茶など、それぞれ単独でも大いなる『癒し』のパワーを発揮するアイテムが所狭しと並びます」
(同)「仏壇の前に座って手を合わせ、目を閉じれば、これ以上にリラックスできる時間はありません。さらに、仏壇はタイムマシンの役割も果たします。はるか昔のご先祖さまに想いを馳せ、最近亡くなった祖父母や両親を思い出し、未来の子孫のことを考える。つまり、過去にも未来にも行き放題のタイムマシンなのです」
筆者である私の実家にも仏壇があります。仏壇は人間が成長するうえでの教材です。仏壇の前で正座をして手を合わせることで、「感謝のこころ」を育むことでしょう。本書を読むことで、儒教と礼の本質を理解できるようになります。お盆休み、「幸せな生き方」について考えてみてはいかがでしょうか。
(尾藤克之)