「市場連動型プラン」をめぐるトラブル増える
このように、最近増えているのが、「市場連動型プラン」をめぐるトラブルだ。電力会社が取引所から電気を仕入れる際の価格に連動して、電気料金が決まる仕組みだ。取引所の相場に応じて電気料金が上下するため、安くなる場合も高くなる場合もある。
経済産業省電力・ガス取引監視等委員会に寄せられた相談例をみると――。
【事例4】市場連動型の電気料金が、突然高額になった
「電気料金見直しのため、市場連動型の料金メニューを提供する電力会社に契約変更した。ところが、ある月から4万円程度だった電気料金が突然7万円の請求になり驚いた。電力会社に確認すると、調達調整費が高くなっているとのことだった。いつもは請求書だけしかみておらず、調達調整費については認識していなかったが、支払わなければならないのか」
【事例5】事業者から契約変更通知が来たが、電気料金が1.5倍になりそうだ
「契約中の電力会社から、契約約款の変更に関する通知が届いた。内容は燃料費の算定方法を市場価格連動型に変更するというものであった。これによると、今の市場価格の状況下では、実際に請求される電気料金が1.5倍になりそうだ。契約時にはそのような算定方法ではなく、安くなると思って契約したのに納得できない。契約内容の変更に応じなくてはいけないのか」
また、契約中の電力会社が突然事業から撤退することで、不安になる相談も多い。同じく、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会への相談事例から――。
【事例6】契約中の電力会社が事業を撤退する。電気を止められるのか
「現在契約中の電力会社から、電力事業を撤退するので電力会社を切り替えるようにとの案内を受け取ったが、どうすればよいのか。何もしなかった場合には、電気が止められたりするのか」
【事例7】大手電力会社から電力の供給を停止するという通知が届いた
「地元の大手電力会社の送電を担当している部門から、電力の供給を停止するという通知が届いた。現在契約している小売電気事業者の契約が廃止されるので、他の小売電気事業者に申し込む必要があると書かれている。通知に記載されている供給停止日までに切替えが間に合わなかった場合には、電気が止められてしまうのか」
さまざまな相談が寄せられているなか、国民生活センターや経済産業省は次のようにアドバイスしている。
(1)契約の意思がない場合ははっきりと断る。万が一、自分の意思にかかわらず契約手続が進められてしまった場合でも、事業者から確認の電話がくる場合があるので改めて伝える。それでも契約の書類が送られてきたらクーリング・オフ(無条件で解約の手続きを行うこと)の手続をする。
(2)大手電力・ガス会社を名乗って勧誘したり、マンション全体の供給契約が変わるかのような説明を行ったりするケースがあるため、相手の会社名、連絡先、契約条件をよく確認する。電力・ガス会社には、契約を締結するときに契約内容を記載した書面を交付する法的な義務がある。
(3)電気やガスの検針票を安易に見せない。検針票の記載情報は重要な個人情報だからだ。電気の検針システムが変わり、スマートメーターを設置すると電気料金が安くなるなどと説明されるケースもあるが、それだけで電気やガスの料金が安くなるわけではない。
(4)市場連動型の料金プランのトラブルが増えている。ある時点から急に電気料金が上がって驚くことがないよう、契約時には料金プランのメリット・デメリットを把握し、納得したうで契約をする。
(福田和郎)