危機感募らせる宿泊業...「第7波」感染拡大、直面する「コロナ関連融資」返済、人材流出も激しく

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

このままでは、インバウンド受け入れにも不安

   ただ、多くの融資は、今年末までに返済が始まるとみられている。

   大半の企業はスムーズに返済できる見通しとされるが、なかには返済に不安を抱く企業もある。帝国データバンクの同じ調査では、不安を抱いているのは「旅館・ホテル」の業種が最も多く、51.5%と半数を越えている。

   「第6波」以降は感染がやや落ち着き、6月からは外国人の観光目的の入国も認められた。インバウンド(訪日外国人観光客)はまだまだ戻っていないものの、多くの宿泊業は夏の行楽シーズンに期待をかけてきた。

   それが裏切られてしまったかたちだ。

   帝国データバンクによれば、2021年のホテルや旅館の休廃業と解散は174件と、過去5年で最多となった。22年春にはJR名古屋駅前の名古屋ニューグランドホテルが閉館するなど、宿泊業の閉鎖は後を絶たない。

   「この夏も厳しい経営が続けば、融資の返済も困難となり、倒産などが広がるかもしれない」(旅行関係者)との見方も出ている。

   宿泊業の休廃業などが続き、「コロナ禍が収束しても、インバウンドを十分に受け入れられなくなるのではないか」との不安も高まっている。

   先行きが見通せないことから、宿泊業からの人材流出も激しいとも。コロナ禍以前から宿泊業の人材確保は深刻だったが、今後はさらに厳しくなりそうだ。

   このままでは観光立国を目指すどころではなくなる恐れもある。(ジャーナリスト 済田経夫)

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