スティーブ・ジョブズはなぜ「ミヤケ」を選んだのか?! 海外メディアが称賛する三宅一生氏の功績(井津川倫子)

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   世界的に活躍したファッションデザイナーの三宅一生氏が亡くなりました。時代を作った天才デザイナーに各国著名人が哀悼の意を示していますが、驚くのは海外メディアの報道ぶりです。

   ありとあらゆる言語で「MIYAKE」の死を悼むニュースが速報で流れましたが、とりわけ注目を集めているのが、Appleの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏との「ご縁」。

   ジョブズ氏の「ユニフォーム」ともいえる黒のタートルネックが、「イッセイミヤケ」ブランドだったことに、あらためて焦点が当たっています。世界を変えた二人の天才の「功績」を追ってみました。

  • スティーブ・ジョブズ氏が愛用した「イッセイミヤケ」に、海外メディアがあらためて注目(写真はイメージ)
    スティーブ・ジョブズ氏が愛用した「イッセイミヤケ」に、海外メディアがあらためて注目(写真はイメージ)
  • スティーブ・ジョブズ氏が愛用した「イッセイミヤケ」に、海外メディアがあらためて注目(写真はイメージ)

「MIYAKE」がなかったら、「スティーブ・ジョブズ」は存在しなかった?!

   三宅一生氏といえば、ブランド「イッセイミヤケ」を立ち上げ、世界的に活躍した国際的デザイナーです。

   森英恵氏や故高田賢三氏、山本耀司氏など世界で活躍した日本人デザイナーは何人もいますが、三宅一生氏は独特の「作風」で異彩を放ち、ユニークな存在でした。各国メディアが速報で訃報を流し、次々と配信される特集記事からも、海外で高く評価されていたことがわかります。

Issey Miyake, Japan's fashion maverick, dies at 84
(日本ファッション界の「異端児」三宅一生氏が84歳で亡くなった:米CBSニュース)

   CBSニュースは、公開中の大ヒット映画「トップガン・マーヴェリック」に例えて、三宅一生氏の非凡ぶりを伝えています。時代の先をいく型破りなデザイン性だけでなく、「イッセイミヤケ」ブランドがビジネス的に大成功を収めたことと、次々と記録を塗り替えている同映画の興行成績とを重ね合わせているのでしょう。

   なかでも各国メディアがフォーカスしているのは、スティーブ・ジョブズ氏の「ユニフォーム」とも称される黒のタートルネックです。稀代のカリスマ経営者と天才デザイナーとのつながりが、多様な視点で報じられています。

   「Here's the real story of Issey Miyake and Steve Jobs' iconic turtleneck」(三宅一生氏とスティーブ・ジョブズ氏の象徴、タートルネックの真実:フォーブス誌)といった特集記事のなかで、とくに詳しい分析をしているのが米ニューヨークタイムズ紙です。

   「Why Steve Jobs chose this designer's turtlenecks?」(なぜ、スティーブ・ジョブズはこのデザイナーのタートルネックを選んだのか?)と題した長文の記事で、二人の出会いから友情、同じタートルネックを100着オーダーしたジョブズ氏の「I have enough to last for the rest of my life」(死ぬまで着続けられるほどたくさん持っているよ)といったコメントなどを詳細に紹介しています。

   記事では、三宅氏のコンセプトは「clothes for living」(生活するための服)であり、見た目の美しさや奇抜さだけではなく機能性を重視していると指摘。「ファッションにあまり関心がない人々をファッショナブルに見せる」ことに成功しており、その好例がジョブズ氏だとしています。

   たしかに、ジョブズ氏の名前を聞いてまず頭に思い浮かべるのが、「定番ファッション」だった黒のタートルネックとデニム姿でしょう。

   黒のタートルネックがジョブズ氏を「world's most recognizable C.E.O.」(世界一、ひと目でわかる経営者)に仕立て上げたという専門家の意見を紹介して、「もしイッセイミヤケの黒タートルがなかったら、ファッションアイコンとしてのスティーブ・ジョブズは存在しなかっただろう」とまで言い切っていたのが印象的でした。

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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