エアコン大手、ダイキン工業の株価が2022年8月3日の東京株式市場で一時、前日終値比1625円(7.1%)高の2万4625円まで上昇、約6か月ぶりの高値をつけた。
前日に2023年3月期連結決算の業績予想を上方修正した。2期連続最高益となる増収増益を見込むその内容の力強さを投資家が好感している。
最終利益は従来予想比20億円増の2300億円に上方修正
まず上方修正の内容をみておこう。売上高は従来予想比1000億円増の3兆4800億円(前期比11.9%増)、営業利益は従来予想比100億円増の3500億円(10.6%増)、最終利益は従来予想比20億円増の2300億円(5.6%増)。
ダイキンは2010年代の大型買収を通じて世界市場のシェア獲得を進めた結果、海外売上高比率は2022年3月期で約8割に達する堂々たるグローバル企業だ。
足元でインフレとウクライナ情勢の悪化によって世界景気の減速懸念が強まる中でも、主要市場の欧米で収益を増やした。さらに、ロックダウンが緩和された中国でも業績が回復する見込みであることを示したこの上方修正が、投資家にポジティブサプライズをもたらし、安心感をも与えている。
通期の上方修正、円安効果が大きく...証券会社「さらに上積みが期待できる」
今回の上方修正を生み出すもととなった2022年4~6月期連結決算が同じ日に発表されているのでこちらも確認してみよう。
円安が進んでいることもあって、売上高は前年同期比21.1%増の9677億円だが、営業利益は1.3%減の1078億円、最終利益は10.3%減の705億円と減益だった。
ただ、地域別にみると、米国で値上げに踏み切りつつ販売網を強化し、供給力を高めた。また、欧州ではドイツ、フランスで販売が減少したものの、熱波が到来したスペインやイタリアで販売が伸張。
中国では、ロックダウンの影響から、生産・物流が停止して製品供給が滞り、販売が減少した。だが、ロックダウンが解除された6月にはいち早く生産・物流をフル稼働させ、6月単月でみれば、販売は前年同月を上回るところまで回復した。
この4~6月期の結果を踏まえ、通期においては従来予想よりも業績が改善すると見込んだわけだ。
SMBC日興証券は、2022年8月3日配信のリポートで22年4~6月期連結決算について、「各地域で供給力、販売力の高さにより機会損失を最小限に抑えたこと、値上げを実現するために商品開発を前倒ししたことなどにより、各地域でシェアを伸張させた」と評価した。
通期の上方修正については、円安効果によるものが大きいとみて、「(中国の)ロックダウンの影響を取り返すことや二次値上げによりさらに上積みが期待できる」と指摘している。
株価は8月4日以降やや足踏みしているが、今後の動向によってさらに上値を追う展開もありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)