通期の上方修正、円安効果が大きく...証券会社「さらに上積みが期待できる」
今回の上方修正を生み出すもととなった2022年4~6月期連結決算が同じ日に発表されているのでこちらも確認してみよう。
円安が進んでいることもあって、売上高は前年同期比21.1%増の9677億円だが、営業利益は1.3%減の1078億円、最終利益は10.3%減の705億円と減益だった。
ただ、地域別にみると、米国で値上げに踏み切りつつ販売網を強化し、供給力を高めた。また、欧州ではドイツ、フランスで販売が減少したものの、熱波が到来したスペインやイタリアで販売が伸張。
中国では、ロックダウンの影響から、生産・物流が停止して製品供給が滞り、販売が減少した。だが、ロックダウンが解除された6月にはいち早く生産・物流をフル稼働させ、6月単月でみれば、販売は前年同月を上回るところまで回復した。
この4~6月期の結果を踏まえ、通期においては従来予想よりも業績が改善すると見込んだわけだ。
SMBC日興証券は、2022年8月3日配信のリポートで22年4~6月期連結決算について、「各地域で供給力、販売力の高さにより機会損失を最小限に抑えたこと、値上げを実現するために商品開発を前倒ししたことなどにより、各地域でシェアを伸張させた」と評価した。
通期の上方修正については、円安効果によるものが大きいとみて、「(中国の)ロックダウンの影響を取り返すことや二次値上げによりさらに上積みが期待できる」と指摘している。
株価は8月4日以降やや足踏みしているが、今後の動向によってさらに上値を追う展開もありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)