JR東日本、地方路線35路線66区間の収支...20年度は約707億円の赤字
この提言に歩調を合わせるかたちで、JR東日本は7月28日、利用客がとくに減っている地方路線35路線66区間(1日1キロあたりの平均利用者数=輸送密度が2000人未満)について、2019、20年度の収支を初めてまとめた。
66区間は東北地方を中心にJR東管内のほぼ全域にまたがる。総延長は計2218.2キロで、ローカル線全体の35%を占める。
全区間が赤字で、赤字の合計額は19年度が約693億円、20年度は約707億円。最も赤字幅が大きかったのは羽越線村上(新潟)―鶴岡(山形)間だ。19年度が約49億円、20年度は約53億円だった。
また、運行コストに対して、運賃収入がどれだけあるかを示す路線ごとの「収支率」は、19年度が0.6~17.4%、20年度は0.5~14.5%だった。最も低い陸羽東線鳴子温泉(宮城)―最上(山形)間は、20年度は100円の収入を得るために2万2149円かかった計算だ。
4月にJR西日本が同様の17路線30区間(12府県、総距離1359.9キロ)の収支を公表しており、2017~19年度平均で全区間が赤字。赤字総額は248億円、「収支率」は芸備線東城(広島県)―備後落合(同県)の0.4%が最も低かった。
ローカル線の赤字の公表は、もともと経営資源が乏しい「三島会社」と呼ばれるJR北海道、四国、九州が先行していた。
新幹線や大都市圏で稼ぐ東日本、西日本、東海の3社は公表していなかったが、東日本と西日本は、コロナ禍もあって、もはや路線を現状のまま維持するのは困難として、公表に踏み切った。
ちなみに、三島会社については民営化の際、計1.3兆円の経営安定基金を用意し、運用益で赤字を補うとしていたが、低金利で資金計画が破綻し、北海道と四国は国から財政支援を受けている。