図書館は増え、利用者は減る...いびつな「図書館離れ」 非正規職員は低賃金、課題山積み(鷲尾香一)

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入札によって決まる「指定管理者」の問題点

   こうした図書館では、館長や数人の図書館司書は正規の職員だが、残りの職員はすべて非正規の職員だ。

   指定管理者は入札によって決められるため、低予算を提示したところが落札する。一般企業で指定管理者になるのは、人材派遣会社が多い。

   低予算で仕事を獲得した分、非正規職員は派遣の形式を採るが、その賃金は非常に低い。ある調査では、最も低賃金の業種として「図書館職員」が1位になったほどだ。

   「あれでは、本が好きで、図書館の仕事に熱意を持った若い人が生計を立てられる給与ではない。結局、いい人材は集まらないし、図書館の魅力が高まることはない」と妻は常々嘆いていた。

   図書館という施設は、数を増やし、低予算で管理運営ができればよい、というものではない。たとえば、本屋の店員がその興味と熱意で、自らが読んで面白かった本を紹介し、それが「本屋大賞」として選ばれ、良書が注目を浴びている。

   図書館にも、こうした本や知識を伝えるという重要な役割があるはずだ。今後、図書館が魅力的な施設となることに期待したい。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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