コロナ禍で市場全体は縮小も、男性化粧品は伸びた
メンズコスメに関わる動きが強化されている背景には、男性化粧品の伸びがある。
調査会社インテージの推計によれば、コロナ禍が生じた20年の化粧品市場全体の規模は前年比11%減と大きく減った。だが逆に、男性の化粧品市場は4%増と拡大し、化粧水などの基礎化粧品では7%増も伸びた。
化粧品全体が縮小したのは、感染予防から女性が外出しなくなってメークする機会が減ったからだ。しかし、リモートワークによって男性は、画面で自分の顔をまじまじと見ることが多くなった。「顔色の悪さや老けて見えることが気になった」と話す男性は珍しくなく、化粧水や乳液を使うきっかけになったという人は多い。
インテージは「通勤時間や飲み会にかけていた時間やお金を、スキンケアに充てているようだ」とも分析。韓国の男性アイドルが化粧をしているのを見て、化粧品の使用を敬遠しない若者も増えたともみられている。
化粧品業界関係者の多くは「少子高齢化などで国内市場が縮小する中、メンズコスメは数少ない成長力をもつ潜在市場だ」と期待を高めている。
今後も新商品投入などで、市場が沸き続ける可能性は高そうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)