40万部を超えるベストセラーになった「エッセンシャル思考」の第2弾が、本書「エフォートレス思考」(かんき出版)である。
すでに12万部と売れている。エッセンシャル思考は「何を」やるかを見極める技術だったが、エフォートレス思考は「どのように」やるかを極める技術だ。
「努力を最小化して成果を最大化する」というサブタイトルに惹かれて読んでみると、実に多くのヒントに満ちていた。
「エフォートレス思考」(グレッグ・マキューン著、高橋璃子訳)かんき出版
著者のグレッグ・マキューンは、アドビ、アップル、グーグルなどのコンサルティングを行う会社のCEO。前著「エッセンシャル思考」は全米ベストセラーになった。
その主張は、「私たちの抱える90%のタスクはどうでもよいものであり、本当に重要な10%に集中しよう」というものだ。そのために「エッセンシャル思考」では、見極める技術、捨てる技術、しくみ化する技術を説いていた。
力を抜いて成果を出すのはスマートな生き方
その延長上で書かれているのが本書だ。「努力を最小化」と聞くと、「手抜き」とか「怠惰」と思われるかもしれない。だが、それは誤解だ。著書はプロローグでこう書いている。
「力を抜いて成果を出すのは、けっして怠惰なことではない。むしろ、スマートな生き方だ。努力でも怠惰でもなく、スマートに結果を出すこと。それこそが、大事なことをあきらめずに、しかも正気を保つための最善の道なのだ」
「頑張らないのに結果を出す。いや、頑張らないからこそ結果が出せる。正しいやり方さえ見つければ、人生の重荷は軽くなり、余裕で大きな成果がついてくる」
本書は3つのパートからなる。
1 エフォートレスな精神 頭のガラクタを片づけて、余裕のマインドを手に入れる。
2 エフォートレスな行動 もっとも効率のいいポイントを見つけて、余裕で最高の成果を出す
3 エフォートレスのしくみ化 行動を自動化し、成果が勝手についてくるしくみをつくる。
それぞれ、いくつかの章で構成されている。そのタイトルを眺めているだけで、心が落ち着いてくること請け合いだ。
たとえば、パート1の「INVERT(転回)」=頑張れば成果が出るとはかぎらない。
その意味するところは、不可能を可能にするために、違う角度からアプローチすることだったり、大きな困難を感じたら、「やり方が悪いのではないか?」と振り返ったりすることが大事だということ。
ほかにも、「ENJOY(遊び)」=「我慢」を「楽しい」に変える、「RELEASE(解放)」=頭の中の不用品を手放す、「REST(休息)」=「休み」で脳をリセットする、「NOTICE(集中)」=今、この瞬間にフォーカスする、などが挙げられている。