カゴメの株価が2022年7月28日の東京株式市場で一時、前日終値比205円(6.1%)安の3155円まで下落した。
前日に2022年12月期連結決算(国際会計基準)の業績予想について、最終利益の前期比の減益幅を9.9%から29.3%に拡大する水準に下方修正したことが売りを集めた。株価は8月に入っても大きく反転するきっかけをつかめていない。
材料高や円安による輸入価格の上昇、利益を圧迫
業績予想の内容を確認しておこう。売上高にあたる売上収益は、従来予想から30億円上方修正し、前期比6.5%増の2020億円を見込む。米国や欧州での国際事業が、円安によって円ベースの売上高が伸びることが寄与する。カゴメにおける海外売上高比率は2021年12月期で25%程度あり、小さくはない。
一方で、最終利益は従来予想の88億円から19億円減額し、69億円に引き下げた。国内事業で材料高や円安による輸入価格の上昇が利益を圧迫するほか、販売促進費もかさんでいるためだ。全体として売上高が上がっているのに、利益が縮むという姿には厳しさがある。
ここで、カゴメという会社についておさらいしておこう。
現在の愛知県東海市が発祥の地で、創業は1899年だ。その年に西洋野菜の栽培に着手する。なかでも、のちに主要産品に育つトマトの発芽を確認した。「カゴメ」の社名の由来はトマトを収穫する時の「籠(かご)の目」だ、とカゴメのホームページに記載されている。やはり、トマトが会社を象徴している。
本社は戦後に名古屋市に移転し、現在も登記上は名古屋市にあるが、本社機能は東京都中央区に移っている。2022年6月には建て替えを進めていた名古屋市中区錦の本社ビル(地上11階建て)が完成。その外観は、社名の由来である「籠の目」をイメージしたものに仕上がった。
6月中間連結決算...国内飲料の売上高、前年同期比1.8%減
事業をみると、国内の主力は加工食品事業。トマトジュースや「野菜生活100」「野菜一日これ一本」などの野菜飲料が看板商品だ。そのほか、トマトケチャップやトマト調味料もそろえる。
「国内農事業」では生鮮トマトも扱っており、まさにトマト三昧といったところだ。ただ、国内では前年の「内食」需要拡大の反動もあり、今年は苦戦している。
業績予想と同時に発表した2022年6月中間連結決算において、国内の飲料の売上高は前年同期比1.8%減の365億円。プロモーション費用の投下や原料価格の高騰も響き、事業利益は20.0%減の32億円だった。
今年後半も苦戦が続くと見通したことが業績見通しの下方修正の要因だ。
しっかりとした値上げに踏み切らないと利益を確保できないが、足元で売れ行きが鈍っているところで、値上げが受け入れられるかは見通せない。
カゴメの株価の下落にはそのあたりを懸念する投資家の心理も反映されているといえそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)