「抜け道」防ぐルール変更後も、「抜け穴つく」販売実態
国税庁は2021年6月に、名義変更をして税負担を減らす「抜け道」を防ぐルールに変更した。しかし金融庁は、マニュライフ生命がその後も、年金保険という別の保険を同様の節税手法で販売するなど、「悪質性が極めて高い事例」もあったとしている。
実は、こうした抜け穴をつく販売は他社でもあった。
金融庁は2022年2月、エヌエヌ生命保険、SOMPOひまわり生命保険、FWD生命保険の3社にも節税保険の販売実態の説明を求める報告徴求命令を出している。マニュライフ生命の悪質性が群を抜いていたことから、1社だけ立ち入り検査を実施し、今回、処分を課した。
どれほど悪質だったのか。発表によると、金融庁が険各社に節税保険を扱わないよう求めるなか、マニュライフ生命は前最高経営責任者(CEO)ら旧経営陣が主導して名義変更プランを開発、推進していたという。
金融庁は「コンプライアンス(法令順守)を軽視する企業風土があると考えられる」としたうえで、「旧経営陣の責任は非常に重い」と結論づけた。商品開発から販売まで、組織性も認められることから、同社に経営責任の明確化や経営管理体制の抜本的な強化を求め、8月15日までに改善計画を提出するよう求めた。
実は、すでに退社して別の保険会社に移籍した旧経営幹部もおり、「逃げ得」となりかねないことから、あえて組織的問題点を指摘し、業界として体質改善に本気で取り組むよう促したかたちだ。