「テクノキング」マスク...彼を支える物理学的思考とは?
ジョブズは徹底的に製品の細部にこだわる「プロダクト・ピッカー」だったが、それを支えたのは、優秀な技術スタッフだった。それに対して、マスクは「テクノキング」と自称している。つまり、技術に精通し、自社の製品にどんな技術が使われているのかを細かいところまで把握し、技術者と議論するという。その土台には物理学がある。
物理学的思考とは、あくまで原点から「なぜ」を問い直す姿勢だ。
本書では、スペースXを例に説明している。マスクは人類が火星に移住するためには、安価なロケットが必要だと考えた。ロケットの材料費率は2%であることが分かった。つまり、材料費以外のところに膨大なコストがかかっていた。そこで、「ロケットのコストを100分の1にする」と豪語したのだ。
スペースXは何度かの失敗を経て、ついにロケットの再利用を成功させた。マスクはロケット打ち上げ実験の様子を、毎回ライブで世界にネット配信した。このオープンマインドな姿勢は、秘密主義を貫いたジョブズと大きく異なる。