イーロン・マスクは、スティーブ・ジョブズよりすごいのか?

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   「イーロン・マスクはスティーブ・ジョブズを超えたのか」(PHPビジネス新書)。

   刺激的なこのタイトルに引かれ、手にした本書だが、実に多くの示唆に富んだビジネス書だ。

   アップルを創業したスティーブ・ジョブズと、電気自動車企業テスラと宇宙開発企業スペースXを率いるイーロン・マスク――。2人の名経営者の共通点と相違点を浮き彫りにしながら、時代を超えた成功法則を明らかにしている。

「イーロン・マスクはスティーブ・ジョブズを超えたのか」(竹内一正著)PHPビジネス新書

   著者の竹内一正さんは、作家、コンサルタント。松下電器産業(現・パナソニック)、アップル、日本ゲートウェイなどを経て、現在、ビジネスコンサルティング事務所「オフィス・ケイ」代表。著書に「アップル さらなる成長と死角」「イーロン・マスク 世界をつくり変える男」などがある。

ジョブズとマスク、2人はどう違う?

   冒頭で、2人の「小さいけれど大きな違い」に触れている。

ジョブズは、今を見て、未来を作った。
マスクは、未来を決めて、今を作っている。

   2人の年齢は16歳離れているが、どちらもそれぞれの時代の波と無関係ではいられなかった。ただし、目の前の時代の波に乗ることで成功をつかんだジョブズと、時代の波を自分で「作る」ことで思い描いた未来を実現しようとするマスク。そこが2人の天才の大きな違いだと指摘している。

   2人の人生を振り返りながら、その意味を説明している。ジョブズについてはすでに多くの本が出ているのでここでは割愛し、マスクについて本書から紹介しよう。

   マスクは1971年、南アフリカ共和国の首都プレトリアに生まれた。10歳のときに、コモドール社製のパソコン「VIC-20」に出会い、BASICの取扱説明書を3日でマスターした。

   12歳のときにエイリアンの宇宙船を破壊するビデオゲームソフトを自分で作り、「ブラスター」と名づけて販売。プログラミングの知識は、起業してから大きな力になった。

   17歳のときにカナダのクイーンズ大学に入り、その後、米国東海岸のペンシルバニア大学に奨学金を得て編入し、物理学と経済学を学んだ。物理学の思考法は、その後のマスクの支えになった。

   そして1995年、応用物理学を学ぶためにスタンフォード大学大学院に入学したマスクは、2日で大学院を辞め、シリコンバレーのインターネットの熱狂の波に乗った。ソフトを開発し、会社を売却、約1億8000ドル(約200億円)を手にした。

   ここからの歩みが、ジョブズとは異なる。

   あえて「サイバー」から「リアル」にマスクは回帰する。2002年に創業した宇宙開発ベンチャーのスペースXであり、2004年に経営に関わるようになったEVベンチャーのテスラを選んだのだ。

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