初めて行く場所も、これなら安心...視覚障がいの方、期待のアプリ「EYECAN」開発秘話 ポイントは自動運転技術【後編】/ZMP社長・谷口恒さんに聞く

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

まずは自分が輝いて...「一隅を照らす」を胸に

――ありがとうございます。インタビューの締めくくりとして、最後はちょっと角度を変えた質問をさせてください。J-CAST 会社ウォッチの読者層のボリュームゾーンが30代、40代です。この世代に向けて、キャリア/働き方へのアドバイスや、エールをおくるとしたら?

谷口さん「自分もそうでしたけれど、30~40代の中堅の頃は、一番悩みがちな時期だと思います。2つ、アドバイスがあります。 ひとつは、心のケアを大事にしてほしい。『心技体』のうち、『心』がやられてしまうことって多いと思います。心と体は、密接に結びついているものです。好きなものを適度に食べて、十分な睡眠をとって、心をなるべく平静に保ってほしい。これは、自分で保つように意識しないと、意外とできません」
谷口さん「心を平静に保つ方法として、オススメは瞑想です。うちの実家は天台宗のお寺でね。私も大学時代に修行したし、数年前に阿闍梨(あじゃり=弟子たちの模範となる高僧の敬称)の資格もとりました。
だから自分は、心は強いほうだとは思うけれど、それでも出張を入れすぎて体が疲れているときに、心に負荷がかかるような出来事が起こると、やっぱりしんどくなるものです。そういうときは、瞑想です。
30分くらいできるといいですが、慣れていないと5分もできないでしょう。まずは10分を目指して、慣れたら時間を伸ばしていくといいと思います。
心のケアをして心が安定していると、仕事でいいアイデアが浮かんでくるものです。そういう意味でもぜひ、『心』には注意を払ってほしいと思います。

――もうひとつは?

谷口さん「好奇心を持ち続けてほしい、ということです。30代、40代ともなると、社会に流され、日常の仕事をこなしていくうちに、好奇心を持ち続けることが、難しくなってしまいがちではないでしょうか。
そうならないで、好奇心を持ち続けるには、『観察力』が大事だと思います。たとえば、通勤のときは、周りを見回して『人間ウォッチング』をしてもいいと思います。休みの日は、自然に触れて観察するのもいいですね。観察力が高まれば、好奇心は高まり、いろんなことに興味が持てるものだと思います。
日常に流されたっていい、週末は趣味に生きるから――そういう考えもありますが、やっぱり人生の大部分の時間を過ごす仕事が楽しいほうがいい。仕事を面白くするためにも、観察力を高め、いろんなものにアンテナをはる。そうすると、他の人が気づかないものに気づき、仕事でユニークな企画をつくれるようになるのではないでしょうか」

――最後に、谷口さんの座右の銘はなんでしょうか。

谷口さん「天台宗をひらいた最澄の言葉で、『一隅を照らす』は大切にしています。この言葉のエッセンスは、まずは自分が頑張りなさい、ということ。周囲の状況がどうであれ――不満やあきらめの気持ちは差し置いて、いまいるところで頑張って、自分が光りなさい、と。その光は隣の人に伝播し、周囲にいい影響を与えます。その光はそこだけにとどまらず、地域へ、日本へ、世界へと広がっていくことでしょう。ぜひね、その最初の光となるよう、自分ができることで明かりをともしていく。それに気づいてくれる人は必ずいますし、何よりもそういう人のもとに志を同じくする人が集まってくるのだと思います」

――ありがとうございました。



【プロフィール】
谷口恒(たにぐち・ひさし)

株式会社ZMP 代表取締役社長

1964年兵庫県生まれ。制御機器メーカー、商社、ネットコンテンツ会社の起業などを経て、2001年ZMPを創業。家庭向け二足歩行ロボットや音楽ロボットを展開したのち、2009年自動車分野へ進出、自動運転車両『RoboCar(ロボカー)』を開発・販売。以来、自動運転技術で存在感を発揮してきた。ほかに、物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」のほか、宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」、一人乗りの歩行速モビリティ「RakuRo(ラクロ)」、自動運転警備ロボット「PATORO(パトロ)」などのロボットを手掛ける。ロボットベンチャーの先駆者として、唯一無二の存在であり続けることを目指している。

姉妹サイト