企業が景気の先行き、日本の将来に自信持てるかがカギ
また、ヤフーニュースのヤフコメ欄では、法政大学大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は、自民党に接近しているといわれる労働団体・連合の芳野友子会長を念頭に置いてのことだろう、
「最低賃金の過去最大の上げ幅は、一方では、これまでの安倍政権、菅政権の政策を踏襲したものということができる。他方では、政府自民党と連合との関係の変化も影響していないとはいえないだろう。そうした意味では、政治的な影響を受けたものといってもよいかもしれない」
と指摘した。そして、
「こうした過去最大の上げ幅は、企業に対して今後大きな負担を強いるものなのかもしれない。(中略)特に、飲食業や、旅行業などコロナの影響を大きく受けた業界の実態を反映しているものなのかどうか、気になるところである。そうした業界に対して、何らかの政府の対策も必要なのかもしれない」
と、政府の対策に期待した。
同じく同欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の小林真一郎氏も、企業側の負担増に懸念を示している。
「消費者の立場からは、物価が上昇している中での最低賃金の大幅引き上げは生活防衛の観点から歓迎すべき結果です。また、来年の春闘でのベースアップを促す要因になると考えられ、正社員にとっても朗報です」
と評価したものの、一方では、
「企業が(人件費増によって)雇用の増加や維持を諦め、業務の縮小、撤退を選べば、景気を悪化させることになります。結局は、企業が賃上げと値上げを上手くバランスさせられるかどうかになりますが、両者を同時に実施できるような前向きな循環が生じるためには、企業が景気の先行きや日本の将来に自信を持てるかどうかにかかっているといえ、政府にはそうした環境の整備が求められます」
として、政府にいっそうの成長戦略と景気対策を求めている。
(福田和郎)