最低賃金引き上げ「31円」過去最大!と言われても...エコノミスト指摘「それより社員教育充実を」「日本の将来に自信を持たせよ」

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社員教育充実で生産性向上を

31円アップって...実質賃金が下がってはなあ(写真はイメージ)
31円アップって...実質賃金が下がってはなあ(写真はイメージ)

   今回の最低賃金の引き上げ劇、エコノミストら専門家はどう見ているのか。

   日本経済新聞(8月1日付)「最低賃金31円上げ961円 全国平均、物価高で上げ幅最大」という記事につくThink欄「ひと口解説コーナー」では、学習院大学経済学部の鈴木亘教授(社会保障論)が、「労働者全体の賃金引き上げは日本経済にとって最重要課題の一つであるが、最低賃金を政策的に引き上げて、全体の賃金引き上げを図ろうというのは、政策的に間違っており、効果も期待できない」と厳しく指摘。そのうえで、

「賃金の原資となる成長のパイを確保し、リカレント教育やデジタル化の推進などで、労働生産性を引き上げることこそが本筋である。(対象になる)低所得のワーキングプア対策は、市場で決まる賃金を政策的に歪めるのではなく、ピンポイントで低所得者に限った分配政策で対応すべきである。最低賃金を大幅に引き上げ、経営が苦しくなる中小企業に補助金をばらまくというマッチポンプはもうそろそろ卒業しなければならない」

と、政府が最低賃金決定に介入することを批判した。

   また、同欄では日本経済新聞社編集委員の石塚由紀夫記者も、企業の人材教育の必要性を取りあげた。

「最低賃金は、非正規雇用の問題でもあります。同じ仕事をしていても、雇用区分が異なるだけで正社員よりも労働が安く買い叩かれる――そんな労働慣習が根っこにあるからです。諸外国は、仕事が同じなら同じ賃金を支払うという同一労働同一賃金の思想があるため、自然と最低賃金も上振れします」

こうした海外のケースを紹介したうえで、

「企業は(中略)正社員に比べて、(非正規雇用の)人材育成にコストをかけません。賃金アップには生産性の向上が不可欠です。ならば生産性向上のために、非正規雇用者に対しても資金と時間を投じて、きちんと人材育成することが大切です。非正規であっても潜在能力は正社員と遜色ないのですから」

と訴えたのだった。

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