「ほぼ年功序列」から「成果主義」の会社まで
ほかの時給トップ10の企業の働き方はどうなのか。社員のクチコミを見ると――。
ヒューリック「年収950万円:基本給(月)35万円、残業代(月)15万円、賞与(年)350万円。新卒社員は10年程度横並びで昇級・昇格している。個人のパフォーマンスはほとんど影響しない。収入に関してはベースよりもボーナスに偏っており、若手に関しては40%前後をボーナスが占めている。部署によってボーナスに若干の差があるが、大きな差はない」(不動産、男性)
三菱商事「年収1300万円。総合職は新卒入社するとスタッフ職からスタートし、ほぼ同年代同時期に管理職(プロフェッショナル職)になれる。管理職になった段階で月給、賞与は1.5倍くらいに上がる。賞与は年2回支給で、夏のボーナスは基本賞与に加えて業績連動ボーナス、個人の成績加算金が加算される。後者2つによるボーナスの個人差は大きい」(マネージャー、女性)
伊藤忠商事「年収1500万円。ボーナスの割合が高く、さらに個人の成績によりボーナス金額が変わる傾向にある。30歳を前にして年収は1000万円を超える。最近は株式報酬制度なども充実し始めており、実際の収入ベースではプラスアルファで50~100万円程度の影響があるのが実態だと思われる」(営業、男性)
三井物産「年収1700万円:基本給(月)100万円、賞与(年)500万円。全般に高いが、ボーナスは所属部門の組織業績により年収200万円程度の差はつく。また、海外赴任期間中は別途高額手当があり、地域によっては交通費や子女教育費も会社負担なので、個人の持ち出しはほぼ無いケースもある」(マネージャー、男性)
キーエンス「年収2000万円。基本給は少ないが、毎月業績給と年4回のボーナスがあり、全体としてはかなりの額になる。人事考課によってプラスマイナス10%くらいは変わるが、会社の利益増減による業績給の振れ幅のほうが大きいため、人事考課のことは全然気にならなくなる」(開発、男性)
住友商事「年収1500万円。年功序列が色濃く残っているが、真面目に取り組んでいれば評価をしてもらえる。いち早く成長したい人には向かないが、コツコツタイプの人には向いている」(基幹職、女性)
三菱地所「年収1200万円。給与は基本的に年功序列。賞与は長期安定支給を基本としており、おおよそ給与の8か月分」(総合職、男性)
三井不動産「年収1200万円。完全な年功序列である。給与以外の手当も多く、待遇には満足している。評価制度は定性評価(=パフォーマンスを数字で表すことができないものに対する評価)であり、評価の軸がいまいちわからないところがある。評価の違いがどのように給与やボーナスに反映されているかもわかりづらい」(主事、女性)
ストライク「年収1300万円:基本給(月)50万円、賞与(年)700万円。年俸ベースで、当初1年間は前職給料を踏襲し支給されるが、基本的には年俸500万円~700万円程度。役職によって月収ベースはアップ。あくまでもインセンティブがキー」(アドバイザリー、男性)
見てきたように、「実力主義」の企業もあれば、「横並び年功序列」の企業もある。人間は花と同様に「置かれた場所で咲きなさい」という言葉もある。みんなそれぞれ置かれた職場で懸命に働いていることがうかがえる。
調査は2019年1月~2022年7月、Open Workにリポート回答が5件以上ある上場企業1953社を対象に、有価証券報告書とリポートのクチコミを集計して「時給」を算出した。
(福田和郎)