これは「コンサルあるある」なのか? デロイトトーマツがイオンのDX戦略を競合先に漏らしていた【馬医金満のマネー通信】

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   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   コンサルティング業界で、「危うい」ニュースがありました。

   それは、大手コンサルのデロイト トーマツ コンサルティングが、契約を結んでいる流通大手、イオンのDX戦略の一部資料を競合するセブン&アイ・ホールディングスの会議資料として流出していたというものです。

   ちなみに、「被害」を受けたイオンは「当社に起因する事象は認められなかった」と、自社による情報漏えいがなかったことを主張していました。

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他社の「最善の方法」を顧客に適用する側面はある

   デロイトトーマツが漏らしたイオンのDX戦略に関する情報は、「週刊ダイヤモンド」の特集「セブン DX敗戦」(2022年2月12日号)に掲載されていました。

   デロイトトーマツは2022年6月16日、「守秘義務に対する基本的認識の欠如ならびに社内ルールを逸脱した行為があった」と、イオンとの契約に違反したことを謝罪。情報管理体制の強化、風土やガバナンスの改革に取り組むことを発表していますが、同社のこうした社風は以前からあったのではないか、とも推察できるでしょう。

   そもそもコンサルティング会社自体が、他社のベストプラクティス(ビジネスプロセスにおける最善、最良の方法、事例)を、顧客に適用する側面があることも事実です。

   コンサル業界では建前上、ベストプラクティスとみなされる顧客情報は破棄すると言ってはいるものの、じつは密かに溜め込んでいる場合が多いようすがうかがえます。

   仮に「顧客情報はきちんと廃棄している」とコンサル会社が言っていたとしても、ウラでその顧客の一般マーケットに関する情報を、他の顧客とシェアしようと思えばシェアできてしまう、とも言われているようです。

   現在は「客先常駐」といって、顧客の職場で仕事を行うコンサルタントが多くなっています。それもあり、実際に現場での取り組みを詳細にわかってしまう部分も多くあります。そうした中で、顧客に対してのインテグリティ(誠実さ、真摯さ)が、今後ますます重要視されると考えています。

コンサルと監査法人、「同じ」グループでいいの?

   さらに、もう一つの視点として、コンサルティングファーム(会計系)と監査法人(アドバイザリー)を同じグループが担ってよいのか、という問題もあります。

   一般に、会計系のコンサルティングファームが担っているコンサルティング業務は、例えば会計体制の構築や会計システム導入の提案や支援、さらには赤字企業の再生計画の立案など、経営のアドバイスに当たります。

   一方、監査法人の場合、大手の監査法人では「監査部門」と「アドバイザリー部門」があり、アドバイザリー業務として、例えば長期経営計画や財務といった視点で経営課題、経営戦略の支援についてアドバイスに当たります。「監査部門」と「アドバイザリー部門」は担当スタッフも分かれていますが、中堅・中小の監査法人の場合はアドバイザリー業務の「担当者」がいるという位置付けにすぎません。

   監査法人のコンサルティングは、ほとんどが財務コンサルティングになりますが、M&Aアドバイザリー業務(デューデリジェンス)、企業再生アドバイザリーなどもあり、必ずしも財務・会計の情報ばかりではありませんし、M&Aや企業再生の事案が増える傾向にもあります。こうしたことから、現在はM&Aや企業再生のコンサル業務を分社化してFAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)という別法人が担うようになってきました。このように、「情報障壁」に気を遣っていなかったわけではないのも事実です。

   こうした問題に対して、最近はEY(Ernst & Young Japan)やKPMGコンサルティングなどの会計系コンサルティングファームが株式を上場しようとしているようです。株式上場により、経営の透明性を確保し、信用力を上げていこうという狙いがあるようです。こうした流れは、面白い動きだと考えています。

   では、また!

(馬医金満)

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