競争力強化のため、中韓は国を挙げて支援
その間、世界は脱炭素に向けて大きく舵を切り、主要国の政府は今後数十年かけてEVの比率を高める計画を相次いで表明した。
これに前後して、これまでエンジン車を手掛けてきた世界の大手自動車メーカーがEVに注力する計画を打ち出した。当然、EVの性能を左右する車載電池の需要も高まっていく。
半導体や薄型パネルと同様に、車載電池も高い技術を駆使した巨大設備で大量生産することで、性能とコスト競争力を高めることができる。そのためにメーカーは継続的に巨額の資金を投じる必要があり、「国家戦略」と位置付ける中国や韓国は国を挙げて支援している。
現在、世界首位は中国のCATLであり、韓国LGグループなど中韓勢が上位を占める中、パナソニックHDも何とかその一角に踏みとどまっている状況だ。技術的な差異も薄れてきているとされる。
こうして車載電池を巡る経営環境が厳しくなる中、パナソニックHDが次の工場の建設地としてカンザス州を選んだのは、地元からの補助金以外にも理由がある。そこから近いテキサス州で、テスラが2022年4月に新たな巨大EV工場をオープンしたからだ。
今回発表された工場新設のニュースリリースには具体的な販売先は全く記されていないが、パナソニックHDが念頭に置いているのはテスラだろう。