悩みを一人で抱え込まないこと
がん告知を受けた方々の多くは「否定→怒り→落胆→回復」の心理状態をたどるといいます。がんは死の告知ではありませんが、葛藤する人が多いということです。事実、筆者である私の周りにも、「怪しげな」民間療法に手を出して、不幸な結果になってしまう人もいました。正しく知り、正しく恐れ、限界に制限をかけないことが必要なのだと理解しました。
ポジティブな性格の方は、立ち直りやすいと聞きます。一方で、悩みを抱えがちな方はふさぎ込み、生きる気力を失ってしまいます。悩み抜いた結果、抑うつ状態に移行するケースも珍しくありません。自分一人ではどうにもならないときは、仲間のところに行きましょう。孤独に悩んでいては、どんどん世界が狭まってしまいます。
では、どのような人に会えばいいのでしょうか。がん患者の方々にとって最も心強い味方は、がんの苦しみを分かち合える存在。いわゆる「がんサバイバー」です。過去には、絶望の淵に立たされていた方もいるでしょう。健康な家族や友人には理解してもらえない悩みも、彼らは深く共感し、よき相談相手となってくれるのです。
本書には、「がんになりました」と自らのSNSで公表した著者が体験した周囲の反応と、自分の気持ち、日常生活を通して感じたリアルがしたためられています。多くの人に目を通してもらいたい一冊です。
(尾藤克之)