「景気後退」喜ぶ、米国金融市場の「不思議」 エコノミストはどう見る?...今後は円建ての米国株投信「大幅下落」に注意

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2022年後半、米国景気後退の余波...日本経済に波及

米国経済の後退は世界経済にどんな影響を与えるか(写真はイメージ)
米国経済の後退は世界経済にどんな影響を与えるか(写真はイメージ)

   では、結局、米国経済は景気後退に陥っているのか、いないのか。

   第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は、「米利上げはどうなるか(わかりやすく解説)~Q&Aで答える~」(7月28日付)という、いかにもわかりやすいリポートで、「Q:米国は景気後退に陥るか?」との問いにこう答えている。

「その可能性は十分にあるとみる。7月の時点でパウエル議長は、景気後退にはならないと明言している。しかし、それは微妙だと考えられる」

と述べたうえで、その理由をこう説明する。

「米国が景気後退になるときは、GDPの成長率が2四半期連続でマイナスになる時だとされる。2022年1~3月は前期比年率マイナス1.4%(当初発表時)のマイナスになった。筆者(である熊野氏)は、2022年10~12月は景気後退リスクが高まると警戒する」

   そのうえで、米企業の景況指数(ISM景気指数)のグラフ(=図表1参照)を示した。ISM景気指数とは、全米の製造業の300人以上の購買・供給管理担当役員に、生産・新規受注・在庫・価格・雇用などの項目で、前月と比較して「良い」「変わらず」「悪い」から選択してもらい、結果を指数化したもの。50%が景気判断の分岐点になり、50%を下回ると景気が悪化しているとされる。

(図表1)米国企業の景況指数(第一生命経済研究所の作成)
(図表1)米国企業の景況指数(第一生命経済研究所の作成)
「最近は、製造業の企業マインドが50割れになるかと警戒されている。ISM製造業景気指数は、6月は53まで低下している(再び、図表1参照)。この指標も7~9月には50を割り込む可能性があるとみられている。(中略)問題は、米国が景気後退に陥っても、FRBが利上げを止めそうにないことだ。過去の米景気後退期は戦後の平均で11か月間続いている。すると、2022年後半から2023年前半の期間は、米国が景気後退に苦しみ、日本経済にもその余波が押し寄せてくるだろう」

   こう警戒するのだった。

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