広まる「脱炭素経営」、プライム市場以外の企業も関心...乗り遅れないためにまずできることは?/ゼロボード代表・渡慶次道隆さんに聞く

提供:RX Japan
脱炭素の取り組みは、『プライム市場』企業だけでなく、『スタンダード市場』『グロース市場』の企業も、業種によっては非上場企業も強く関心を寄せている」

   2020年秋、当時の菅義偉総理大臣が「2050年までの脱炭素社会の実現」を宣言してから、はや1年半――。企業を取り巻く「脱炭素」の動きは、かなり加速している。

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   冒頭のように語ったのは、GHG(温室効果ガス)排出量の算定、可視化ができるクラウドサービス「zeroboard」を手掛ける、ゼロボード(東京都港区)の代表取締役、渡慶次道隆(とけいじ・みちたか)さんだ。

   「プライム市場」上場企業には、気候変動によるリスク情報の開示が実質的に義務付けられたが、それが他の企業にも影響を及ぼしているようだ。いったい、どういうことか?

   今回、2022年「脱炭素経営EXPO 秋展」(2022年8月31日~9月2日/幕張メッセで開催)のセミナーにも登壇するキーパーソン渡慶次さんに、「脱炭素」の動向、そして、乗り遅れないための「脱炭素経営」のポイントなどについて話を聞いた。

  • ゼロボード代表取締役の渡慶次道隆さん
    ゼロボード代表取締役の渡慶次道隆さん
  • シナネンホールディングス 成長戦略部 サステナブル推進チーム 松本美雪さん
    シナネンホールディングス 成長戦略部 サステナブル推進チーム 松本美雪さん
  • シナネンホールディングス 成長戦略部 サステナブル推進チーム 杉山理子さん
    シナネンホールディングス 成長戦略部 サステナブル推進チーム 杉山理子さん
  • ゼロボード代表取締役の渡慶次道隆さん
    ゼロボード代表取締役の渡慶次道隆さん
  • ゼロボード代表取締役の渡慶次道隆さん
  • シナネンホールディングス 成長戦略部 サステナブル推進チーム 松本美雪さん
  • シナネンホールディングス 成長戦略部 サステナブル推進チーム 杉山理子さん
  • ゼロボード代表取締役の渡慶次道隆さん

サプライチェーン全体で求められている情報開示

   ――「脱炭素経営」の直近の話題は、2022年4月、「プライム市場」企業に気候変動によるリスク情報の開示が義務化されたことです。現在の「脱炭素」の動きを教えてください。

渡慶次道隆さん「プライム市場企業の情報開示が実質的に義務化され、驚いたのは想定以上に、スタンダード市場やグロース市場企業も関心が高いことです。
それは、なぜか――。情報開示の際、基礎データとして必ず必要なのが、CO2排出量の数値です。プライム市場企業の場合、自社だけでなく、サプライチェーン全体での排出量を知る必要があります。そのため、メーカー側がサプライヤー(部品などの供給元)や協力会社に対して、CO2排出量の情報開示を求める動きが進んでいるのです。
4月以降、データ収取やCO2排出量の算定に役立つ『zeroboard』への問い合わせも相当ありました。多かったのは、物流と建設業界。これらの業種――サプライチェーンが長い業種、多重下請け構造になっている業種などは、非上場企業であっても、情報開示を避けて通れないわけです」
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渡慶次さん「ほかにも、地域の金融機関などが、中小企業などに対して、CO2排出量算定など脱炭素経営を啓もうしていく動きも広がっています。金融機関としては、企業に『脱炭素』に取り組んでもらわないと、将来的に企業価値が損なわれ、融資先を失うことにもなりかねないからです。動きの早い銀行などは、グリーンローンなど、サステナブルファイナンスの取り組みも進めています。こうした動きからも、あらゆる企業の『脱炭素経営』は待ったなしの状況でしょう。」

――そうした情報開示に向けて、GHG(温室効果ガス)排出量の算定をサポートするのがクラウドサービス「zeroboard」(※)です。1300社以上に提供されているそうですね。

(※)zeroboardは、国際基準「GHGプロトコル」にもとづき、GHG排出量を算定。また、排出区分のスコープ1(自社での直接排出量)、スコープ2(自社での間接排出量)、スコープ3(その他の間接排出量=自社排出以外で、調達や出荷などにかかる排出量)ごとに表示する。

渡慶次さん「現在、2つのプランを用意しています。1つ目が『zeroboard』のソフトウェアだけを提供するプラン。これは、自社由来のGHG排出量であるスコープ1・2を算出したい企業/自治体向けです。効率的なデータ収集に便利で、中小企業などで使っていただくと、『どこでエネルギー利用が多いのか』を可視化できます。それらを把握してから、今後、自社の事業活動の特性にあわせ『どの部分のCO2排出』を減らせそうか、対策や戦略を立てるうえでのヒントになると思います」
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渡慶次さん「2つ目は、『zeroboard』の利用に加え、ゼロボード社の専任スタッフがサポートするGHG排出量の算定支援プランです。これは、スコープ3までのGHG排出量を算定したい上場企業向けです。
スコープ3の算定は、なかなかやっかいです。込み入った話をすると、スコープ3は15のカテゴリーに分類されていて、購入した製品・サービスがどのカテゴリーに当てはまるかの判断が必要。また、それらをどう評価し、CO2排出量として算出するか......ユーザーとなる企業の担当者さんは、この作業で迷うことが多いのです。そのため、専門知識を持つ弊社スタッフがフォローしていきます。GHG削減計画の策定などのアドバイスも可能です(=下の囲み参照)」
◆「zeroboard」導入企業:シナネンホールディングスの声
サポート体制に感謝!「最初は、専門用語が難しくて...」

左から、松本美雪さん、ゼロボード カスタマ―サクセス 野底琢さん、杉山理子さん
左から、松本美雪さん、ゼロボード カスタマ―サクセス 野底琢さん、杉山理子さん
「脱炭素の取り組みを進めるなかで、2021年秋頃、ゼロボードさんと知り合い、『zeroboard』はベータ版から利用しています。最初、担当者の野底琢さんが『(脱炭素化とは)ダイエットと同じです。まずは体重を測り、それから何キロ落とすか、目標をつくることです』とお話しされたことは印象的でした。その話を受けて、私たちサステナブル推進チームは、全グループのCO2排出量の現状を数字で把握し、3年後の削減目標の設定を進めているところです。
とはいえ、当初、私たちはこの分野の『初心者』。難しい専門用語ばかりで戸惑いました。また、スコープ3を算定する作業は複雑。『zeroboard』自体は使いやすいものの、関連知識の蓄積が必要です。困ったらその都度、野底さんに確認し、何度も何度もやり直しました。いつも、丁寧に教えてくれたことに感謝しています。一緒に成長できるパートナー企業が必要ですね」
(シナネンホールディングス 成長戦略部 サステナブル推進チーム 松本美雪さん 杉山理子さん)
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