叱り方のポイント...部長・課長・主任で違う理由
6割近くの人が「部下の成長のためには、叱ることが必要だ」と答えたが、いったい、部下を叱る時、何に気を付けているのだろうか。「特に気をつけていること」の上位3つを聞いた(複数回答)。
「なぜ叱っているのか理由を明確に伝える」(75.8%)がダントツの1位となり、「叱る理由が理不尽になっていないかどうか考える」(51.9%)、「周囲に人がいる状態で叱らない」(41.8%)、「部下を別の人と比べて叱らない」(38.2%)と続いた=図表5参照。
感情的に叱ったりせず、指導の内容をしっかり伝えたうえで、部下に「成長してほしい」と願いながら、叱責をしているという様子が浮かんでくる。
ここで興味深いのは、叱り方で重視している点に、役職ごとの違いがあることだ。図表5の右にある折れ線グラフは、部長クラス、課長・次長クラス、係長・主任クラスのそれぞれの割合を示している。
これを見ると、部長クラスでは「周囲に人がいる状態で叱らない」が他の役職と比べて高いのが特徴だ。これは、「部長に叱られている」ことの重みを考えての若手に対する配慮だろう。
一方、課長・次長クラスでは「長時間にわたって叱らない」ことに心を砕いていることがわかる。これは、第一線の責任者として周囲に人がいる職場で叱責する場合もあることを考えてのことと思われる。
また、係長・主任クラスが「叱る理由の理不尽さや不明確さ」を気にする意識が高いのは、「兄貴分」「姉貴分」として、常に若手の側に立っているからだろう=図表5参照。
それぞれの管理職が、叱る内容だけでなく、シチュエーションにも気を配る姿勢を見せているわけだ。「叱らない上司」が半数以上いるなか、「叱られる部下」は幸せといってもいいかもしれない。
調査を行ったアスマークの担当者もこうコメントしている。
「叱ることは部下の成長のために必要という意見が多数であるなか、叱ることが少ない人や指導しづらいと考える人も一定数みられました。指導が必要とわかっていても、パワハラといわれる不安や、叱り方がわからないことで思うように指導できていないといった悩みもあると思います。正しい叱り方・パワハラにならない叱り方の知識を身につけていくことが上司・部下、 ひいては組織全体の成長につながるのではないでしょうか」
調査は2022年6月21日~6月28日、30代から50代の管理職の男女495人を対象にインターネットで聞いた。
(福田和郎)