ハワイアンジュエリーブランドの「PUA ALLY(プアアリ)」は、デザインを一から起こし、材料となる地金素材、制作、仕上げまでを一貫して行う完全オリジナルのハンドメイドジュエリーだ。恵比寿の一等地に、ショップと工房を併せ持つ専門店とジュエリースクールを展開する。
コロナ禍では、学びの場面でも広くリモートワークが普及した。株式会社ジェイボックスの代表、松尾琢磨さんは、「講師と生徒が都合の良い時間に合わせてマッチングすればよくなった。さまざまな場面で可能性が広がった」と話す。
アフターコロナの時代を迎えるにあたって、これから活躍するのはどんな人材だろう? 企業として、どのように人材を育成していけばよいのだろう? コロナ禍における接客業の変化、今後活躍する人材や期待する人材、そして人材育成について聞いた。
講師も生徒も時間と場所を気にせず授業ができる
<アフターコロナの接客業とは? 大切なスキルは「伝える力」【前編】/ジェイボックス代表・松尾琢磨さんに聞く>の続きです。
――御社は工房とショップ以外に、ジュエリースクールも経営していらっしゃいますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響はどうでしたか?
松尾琢磨さん「多くの業界で働くことや収入が不安定になったために、学ぶことに切迫感を感じた生徒さんが増えました。自分の生活を守れるビジネスに直結するような学びを求めているんです。
本業を持ちながら副業する人が増えている今、自分のキャッシュポイントを増やしていきたい人が増えていますし、『minne』(ミンネ)や『メルカリ』といったハンドメイドマーケットも盛況です。そこで数万円程度稼いでいる人が、もう少し上を目指してジュエリースクールに通うようになってきました」
――コロナ禍では、スクールの授業は通常どおりだったのですか?
松尾さん「もちろん数か月間休校していた期間もありますが、換気など、できるかぎり気をつけることは気をつけて、生徒さんが嫌でない限りは、授業を行っていました。その中でも、オンラインでできる授業はオンラインで行うようになりました。これが面白いことに、例えばCAD(コンピュータ支援設計)やウェブ制作の授業については、講師がスクールに来なくても授業が開けるので、実際に博多やシンガポールにいる講師が授業を行うこともできたのです。
優秀であるにもかかわらず1日3時間ぐらいしか働けないとか、子育て中だといった事情のある講師も、自宅から授業ができたり、彼らの都合の良い時間に合わせて生徒とマッチングすればよくなったので、便利になりました。逆を言うと、学校自体がなくなってしまう可能性もありますね。コロナ禍を経て、さまざまな場面で可能性が広がったとも考えられます」
――今後もデジタル化が進むとはいえ、ジュエリーは安い買い物ではないですし、身につけるものですから、やはり実物を見て、試着してから買いたいというお客様も多いのではないでしょうか。
松尾さん「会社も、お客様が安心してお買い物していただける状況を作っていくことは大事ですね。弊社では以前から、『ご試着サービス』を行っています。指のサイズを測れるスケールと、金属の種類や模様を示すサンプルをお送りするもので、商品を試着してみても返品が可能で全額返金されるというサービスです。
もしかすると、将来的には、実物を送らなくても、デジタル技術で試着と同じようなサービスを提供できるようになるかもしれません。現時点では、まだすぐにそうはならないと思っていますが、街の書店やDVDのレンタルがAmazonに取って代わられたように、いつかそうならないとは言い切れない。常に自分が古くなっているという意識を持っているので、『まさか』が現実になることがあると思っています。そして、そういうことになっても対応できるようにしています」