物価、秋以降もっと上昇? エコノミストが指摘「低所得層ほど打撃」「食品から家電も値上げラッシュ」「企業が日本を見捨てたツケが...」

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低所得者には怖い今後の家賃上昇

電気代もガス代も上がっている(写真はイメージ)
電気代もガス代も上がっている(写真はイメージ)

   とくに低所得者層にとっては、物価高が厳しい影響を与えていることを具体的な数字で示したのが、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「低所得者に厳しい物価高が続く:6月消費者物価統計」(7月22日付)では、物価高が勤労者世帯に与える打撃の度合いを、次の5つの所得階級に分けて分析した。

   (1)年間所得が490万円未満、(2)490万円以上624万円未満、(3)624万円以上775万円未満、(4)775万円以上978万円未満、(5)978万円、である。すると、各階級の消費者物価指数はこうなる。

「所得が低い順から第1階級では前年比2.5%、第2階級では2.3%、第3階級では2.2%、第4階級では2.2%、第5階級では2.1%となる。
所得が低い世帯のほうが、物価上昇率が高い傾向がみられる。これは、所得が低い層ほど消費に占める構成比率が高くなる品目で、特に物価上昇が目立っているためだ」
家計が苦しい...(写真はイメージ)
家計が苦しい...(写真はイメージ)

   全体の消費者物価指数の上昇は2.2%なのに、一番所得が低い層では2.5%にもなるわけだ。いったいなぜか。木内氏はこう説明する。

「食料、エネルギー関連の消費については、低所得層での消費全体に占める構成比が特に相対的に大きいことが分かる。海外での市況の上昇、あるいは円安の影響を受ける傾向が強い、こうした食料、エネルギー関連の物価上昇は、低所得層により大きな打撃を与えているのである。
他方、低所得層の家計により大きな負担となる家賃の価格は、前年比0.0%とまったく上昇していないことが、低所得層の家計に助けとなっている。さらに、低所得層の家計により大きな負担となっている携帯の通信費など情報通信費も、現時点では前年比マイナス10.6%と大幅に下落しており、低所得層の家計には助けとなっている」

   いまのところ。家賃の横ばいや携帯電話料金の値上げで助かっているが、今後は予断を許さないという。

「消費全体の19.6%と高い構成比を占める住宅関連の価格が上昇率を高めていけば、食料、エネルギー価格の上昇に苦しむ低所得層の家計に追い打ちをかけるように大きな打撃となる」
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