日本企業トップは「生え抜き」「ジイサン」「日本人」
ところで、日本企業の経営トップ層の報酬額は欧米に比べるとかなり低い。そこで、日本経済の活性化のために企業トップの報酬を思い切って引き上げ、「成果」に応じた「変動制」を導入すべきだという意見が、政府内に起こっている。
2021年8月、当時の西村康稔経済財政再生相が私的なブレーンの集まり「企業組織の変革に関する研究会」が発表、内閣府の公式サイトに公開した「プライム市場時代の新しい企業組織の創出に向けて ~生え抜き主義からダイバーシティ登用主義への変革~」という報告書がそれだ。
研究会メンバーは、米良はるかREADYFOR(レディーフォー)社長、小泉文明メルカリ会長、間下直晃ブイキューブ社長、夏野剛ドワンゴ社長、冨山和彦・経営共創基盤グループ会長らベンチャー企業の経営者ら6人だ=肩書はいずれも当時。
報告書では、日本企業トップの特徴を「生え抜き」「高齢者(ジイサン)」「ニッポン人」に見て取る。
「日本企業の失敗事例を見ると、ほとんどは経営者の『無能力』が原因であり、経営者は圧倒的に生え抜きの男性が多く、多様性が乏しい。一度でも転職すると経営者になれないし、経営経験が乏しく、スキルもない人物が社内の政治力学によってトップについている。成果が出ない場合は任期が到来していなくても辞めればよいのに、辞めさせられない。(欧米のようにあちこちの企業を渡り歩く)『プロの経営者』を活用すべきだ」
と訴える。