本人の希望を聞き、中堅社員のサポートのもと、「花形仕事」を体験させる
こう考えるなら、まずは本人悩みと希望をしっかり聞ききることです。入社動機である本人にとっての「花形仕事」に着目しましょう。本人に成長イメージを持たせるために、その仕事を早期に一度体験させるのです。
もちろん、本人に任せきりにして取り返しのつかない失敗や、お客様への迷惑があってはいけません。そこで、中堅社員をサポート役につけ、側面的に支援しながら体験をさせるのです。
成功例もあります。
ある食品製造・販売企業では、これまでの慣例だった新入社員に設備清掃や後片付けなど下積み作業からスタートさせる教育方法を改め、まず憧れである花形製品の製造とお客様への提供を体験させるように変えました。
入社早々に、最前線の仕事のやりがいを十分に体験させたのです。そのうえで、そのための準備や仕込みや後片付けなどのバックヤード仕事を任せたところ、新入社員のモチベーションが向上し、定着率も大きくアップしたというのです。
※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。