育休取得で「男性の意識」に変化が
明治安田生命保険の調査(2021年8月)によると、育休を取得した0~6歳の子どもがいる男性では「育休取得により育児に関し良い変化があった」と答えた人が88.6%にのぼった。
また「子育ての大変さがわかり、配偶者をもっとフォローしたいと思った」は半数近くあった(複数回答)。育休を取るか取らないかで、意識の変化に大きな差ができるようだ。
ところで、育休に入る前には、丁寧な引き継ぎを心がけるよう呼び掛けている。
第一に「早めに取り組む」こと。妊娠中は何があるかわからず、切迫早産で産休の予定より早く入院するなど、急な休みを取る可能性もあるからだ。業務フローや関係者リストなど、早めの引き継ぎ準備を心がけるとよい。
また、その際、「口頭ではなく文書化する」ことが大切だ。自分が去った後のトラブルを防げるよう、情報を見える化しよう。
そして、感謝の気持ちを込めた、休業前のあいさつも重要だ。口頭で伝えるだけではなく、社内には最終日、社外には最終出勤日の1週間程度前にあいさつメールを送ることを勧めている。
メールには「誰に仕事を引き継いでいるのか」「いつからいつまで休業する予定でいるのか」を明記しておくとよい。
夫は妻が今後どう働いていきたいのか、いつ復職したいのか、将来二人が目指すゴールはどこかについて話し合っておこう。また、主な家事・育児リストを列挙し、二人でどう分担するかを決めるのも大事だ。
出産後、妻が夫の言動にイライラし、不仲になる「産後クライシス」もあり、なかには離婚まで至る夫婦もあるというから、気をつけよう。産後クライシスが、後年の熟年離婚につながるケースもある、と警告している。
本書ではこのほか、保育園選びのチェックポイント、職場復帰後の乗り切り法、復職後の異動・転職について解説している。
2022年4月の「改正女性活躍推進法」の全面施行によって、それまで301人以上の従業員規模の会社が対象であった「女性が働き続けやすい仕組みの整備」の義務化が、101人以上規模の会社まで拡大されることに、監修にあたった藤井佐和子さんは、注目している。
女性が働きにくいと言われた中小企業でも、従来通りの対応で済ませることはできなくなるのだ。
そして、「仕事も育児も目指すところに向けて、がんばりすぎずに歩みを進めていけますように」とエールを送っている。
(渡辺淳悦)
「がんばりすぎないお仕事復帰BOOK」
藤井佐和子、mamari監修
KADOKAWA
1540円(税込)