300円均一雑貨店「3COINS(スリーコインズ)」や衣料品店「チャオパニックティピー」などを展開するパルグループホールディングス(HD)の株価が、2022年7月13日の東京株式市場で一時、前日終値比341円(19.5%)高の2093円まで上昇、2015年7月以来、約7年ぶりの高値になった。その後も上値を追う流れだ。
12日に2023年2月期連結決算の業績予想を上方修正したことが好感されている。
2022年8月中間期連結決算の業績予想...最終利益は従来予想比の約2.8倍
それでは上方修正の内容をみていこう。コロナ禍からの回復により、売上高は従来予想比40億円増の1540億円、営業利益は21億円増の108億円(前期比43.6%増)、最終利益は20億円増の66億円(64.9%増)と大幅増益を見込む。会計基準の変更により、売上高の増減率は示していないが、単純比較で前期比198億円増になる。
通期もさることながら、2022年8月中間期連結決算の業績予想の上方修正が際立っていて、営業利益は従来予想比33億円増の65億円(前期比約2.3倍)、最終利益は従来予想比25億円増の41億円(約2.8倍)と急伸する見通しだ。同時に発表した2022年3~5月期連結決算が、売上高が期初予想を約1割上回る増収となるなど好調だったことを踏まえている。3~5月期の最終利益は30億円で、上方修正した予想に比べ、中間期で75%、通期で47%の進捗率となっている。
仕入れ価格上昇懸念あるが...成長力に期待
パルグループHDは1973年、スコッチ洋服店のカジュアル部門を分離して大阪市にパルの本社を設立したことに始まる。
本社は現在も大阪市にあり、2022年2月末時点で総店舗数は902。このうち衣料が583、雑貨が319。「ファッションセンターしまむら」の店舗数が同時期に1421ということを考えると、相当な規模に成長していることがわかる。
同社は、商品の企画から製造、販売まで自前で行うことで、利益を挙げやすい体質。そのうえ、主要ターゲットが若年層の女性であることに加え、通販の売上高が2022年3~5月期に前年同期比27.7%増となり、今期目標の400億円が視野に入るなど拡大していることも強みだ。
2022年3~5月期の想定を上回る回復によって業績予想を上方修正したパルグループHDだが、第3四半期(9~11月)以降は慎重に見ている。
「円安などを理由にした輸入食品の値上げによる消費者マインドの変化、原材料価格の値上げによる仕入れ原価の上昇が懸念されるなど外部環境の変化による影響が予断を許さない」と捉えているからだ。
とはいえ、シュリンクが続く百貨店とは逆に若年層向け、通販好調という強みを持つだけに、その成長力を期待する投資家の買いが入る局面が続くことも予想される。(ジャーナリスト 済田経夫)