円安加速、火に油!黒田日銀総裁「利上げ全くない」 エコノミストが批判...「危機感ない」「本家米国では欠陥政策」「岸田首相の出番」

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日銀が見習った金利操作政策、本家・米国では「構造的欠陥」?

日本経済はどこへ行く(写真はイメージ)
日本経済はどこへ行く(写真はイメージ)

   ところで、日銀では、金融緩和の効果を上げるため、2016年9月から「イールドカーブ・コントロール」(YCC、長短金利操作)という新たな政策を導入した。

   これは、金利を低く抑え込む対象に、それまでの短期金利以外に長期金利(10年物国債の利回り)を加え、国債を買い入れることで長期金利を抑えこむ仕組みだ。

   日銀は低く抑え込む長期金利の水準を当初は0%程度としていたが、上限を徐々に引き上げ、2021年3月からは0.25%程度としている。

   そのYCCが、本家の米国では「構造的欠点があるとして問題になっている」と指摘するのが、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「米国の経験に学ぶ日銀イールドカーブ・コントロールの構造的欠点」(7月21日付)によると、米国は第2次世界大戦を挟んだ1942年から1951年にかけて、短期から長期にわたる金利に目標を持つYCCを採用した。日本銀行が導入した長短金利操作政策はこれに倣ったものだ。

   木内氏はこう指摘する。

「日本では、当時の米国の経験が中期・長期金利を中央銀行がコントロールできた成功例として認識されている面が強いように感じるが、米国では逆に、そこで生じた問題や失敗を教訓として生かそうとする姿勢が強いように思われる」

   米国のYCCは、戦時下で大量の国債が発行されるなか、金利の上昇を抑えるために、米連邦準備制度理事会(FRB)が米財務省に協力し、国債管理政策の一翼を担う枠組みだった。

   しかし、戦後に物価上昇率が高まる中、金利の上昇を抑え、そのために大量の国債を買い入れることを強いられるYCCは、FRBの物価安定という使命と相容れないものとなった。

   1950年の朝鮮戦争の勃発で、景気の上振れ傾向が特に強まった後の1951年4月、米財務省との間で合意された長期金利の目標が放棄されたのだ。

   木内氏はこう説明する。

「現在、物価上昇圧力が強まる中で、日本銀行は10年国債金利の上昇を抑え厳格なコントロールを維持するために、大量の国債買い入れを余儀なくされている。円安、物価高という環境下で、日本銀行が国債買い入れを加速させ、事実上、金融緩和を強化しているという矛盾したような状態は、YCCが抱える構造的欠点が表面化した結果と言えるだろう。過去の米国において浮かび上がったYCC問題点は、日本銀行のYCCにも重要な示唆を与えるものだ」
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