上がったり下がったり、暗号資産市場は方向感がつかみにくい状況が続いている。ビットコインを追う北海道大学の花野直樹さんは「一週間を通してエントリーポイントが見つからなかった」と、様子見した。東京大学の迫嵩明さんは暗号資産バトルがはじまってから、一歩も動かず。
動いたのは明治大学の城正人さん。ビットコインを買いに入り、これでFCRコインとビットコインを保有して、ジワリ巻き返しの機会をうかがっている。
ビットコインをテクニカル分析した(北海道大学 花野直樹さん)
今週(7月11日週)の仮想通貨市場は下落から始まりましたが、週の半ばでは上昇に転じました。しかし週初めの高値は超えず方向感のない展開となりました。僕のトレードルール的にも一週間を通してエントリーポイントが見つからなかったため、様子見しました。
【ビットコイン テクニカル分析】
現在、ビットコイン(BTC)の日足を見ると、2万2000~1万9000ドルの範囲でレンジ相場を形成していて、あまり動きのない展開になっています。ただ6月18日に付けた今年の最安値(約1万7600ドル)からはわずかに切りあがっているため、底堅いという見方ができます。
その一方で、下落トレンドの途中の小休憩であり20MA(下図の黄色い線)に頭を押さえつけられているとも見てとれます。また見方によっては図に書き込んだような青い線のような「フラッグパターン」を形成しているようにも思えます。
フラッグパターンとは、その名のとおり旗のようなチャートパターンでテクニカル分析の代表的なものです。そしてこのパターンは天井や底を意味するものではなく、今までのトレンドが継続することが多いパターンになります。
今後の展開としては、短期的に底をつけて上昇していくというよりはフラッグの下のラインを抜けてまた下落の方向に行く可能性の方が高いかなと思います。そして下落のパターンもこのままいけば、下図に書いた2つのパターンがあり得るのかな、と考えています。
(1)20MAで反発してフラッグを抜けるパターン
(2)フラッグの上限に押さえつけられるパターン
もし、下落の勢いが強ければ「売り」でのエントリーも考えたいところですが、今週のさまざまな経済指標を見てみると、アメリカの経済はまだまだ強いことがわかり、米国株価指数は強い動きをしています。
今年のビットコインは米国株価指数の動きと連動しているのでテクニカル的には下落でも米国株につられて上昇する可能性もあります。このようにまだまだ難しい相場が続きそうなので、来週も様子見になってしまうのかなと考えています。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
7月15日現在 9754円
◆池田昇太のワンポイントアドバイス
今週(7月11日週)は下落から始まりましたが、レンジの底である1万9200ドルあたりで反発し、18日週には2万2000ドルを超えましたね。
ビットコインを週足で見たところ、MACD線はシグナル線を下から上に抜いてゴールデンクロスを形成しそうな様子が見られています。NYダウ平均株価などアメリカ市場も上昇しつつあるので、ここ数日はトレンドの転換点になる可能性が出てきました。
加えてイーサリアムの価格も上昇し、大型アップデートが9月19日予定と決定してプラスの材料が出始めています。ここ数日は市場の様子を注視したいですね。
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!
中央アフリカが「サンゴ」立ち上げへ!(明治大学 城正人さん)
今週(7月11日週)、中央アフリカ政府はビットコインのサイドチェーン「サンゴ」を独自に立ち上げると発表しました。内容が想像していたより、ずうっと興味深く、期待できる内容だったので、今回は発表されたサイドチェーン「サンゴ」の計画について解説します。
◆サイドチェーン「サンゴ」とは?
まず、「サイドチェーン」とは、いったいなんだ? ひと言で説明するなら、「メインのブロックチェーンと交わり合いながら並走するもう一つのブロックチェーン」といえます。
ビットコインは取引履歴を一つのブロックチェーンに記録していくことで成り立っています。しかし、取引の承認に最低でも10分かかることや、データ量の制限、1秒間当たりの取引数などに限界があるほか、さまざまな弱点が存在します。
セキュリティや安定性との兼ね合いからも、おいそれと簡単に変更することはできません。
そこでメインのブロックチェーンの特徴を大きく変えることはないものの、新しい方式によって新たなブロックチェーンを運営していこうというものが「サイドチェーン」と呼ばれる解決策です。
そして、今回発表されたのが「中央アフリカ政府によるサイドチェーン『サンゴ』」なのです。
サイドチェーン「サンゴ」の大きな特徴としては、次の3つに分けられます。
●スマートコントラクト搭載
●コンセンサスアルゴリズムにPoA採用
●プライバシーレイヤー搭載
特に注目したのは、下の2つ。詳しく見ていきましょう!
・「コンセンサスアルゴリズム」について
PoAのコンセンサスアルゴリズム、つまり運営者にとって信頼できる仲間内だけで検証作業を進めていく方式を取るブロックチェーンは「検証作業の効率が良いこと」や、「少ないエネルギーで」既存のものにも搭載されてはいます。しかし、検証者が不正を働くかもしれないというリスクが存在します。
そこで「サンゴ」では合意形成のメンバーとして大統領や国会議員17人のバリデーターによって運営されるとしています。国民は検証作業に加わることはできないものの、選挙によって間接的に検証作業に加わることが可能なモデルとなっています。
個人的には、すべての人が検証作業に関わることができない点は弱点だと考えますが、数百万人の利用に耐えうる仕組みを維持させるためには良い妥協点でしょう。
・「プライバシーレイヤー」について
政府が中心となって運営されるブロックチェーンの強みを最もよく示しているのがプライバシーレイヤーです。今回の発表で政府はサンゴを健康保険、不動産との紐付けに利用し、会社の登記に至ってはサンゴチェーンのみで認める方針というブロックチェーンを活発に利用する徹底ぶり。
クリプトシティ、クリプトアイランドを設立し法人、個人の暗号資産収益への非課税も打ち出しています。
しかし、パブリックチェーンは完全に公開されているため、健康保険や本人確認書類など個人のプライバシーに関わる部分について取り扱うのは不適切です。そこで「プライバシーレイヤー」と呼ばれるプライバシーを保護できる層を備えるようです。
特にブロックチェーンはその匿名性ゆえに強みもありますが、1人1回までなどの制限をかけられない弱みもあります。その点で大量の個人データを抱える政府が主導することは一つの解決策となりえるでしょう。
◆まとめ
今回は政府主導のビットコインサイドチェーン「サンゴ」について解説してきました。独自コイン「サンゴ」にも保有者に対するe-レジデンシー付与などの特典があるようですから注目ですね。
◆今週の取引
取引日時 取引暗号資産 取引状況
7/14 ビットコイン 買い(取得価額 273万4691円 0.001BTC )購入額 2734円
・保有残高
FCRコイン 2400枚(現在1枚0.53円) 評価額 1272円
ビットコイン0.001枚(現在2922円)評価額 2922円
現金 5752円
保有する暗号資産 FCRコイン
ビットコイン
前週からの損益 プラス140円
7月15日現在 9946円
◆池田昇太のワンポイントアドバイス
サイドチェーンの「サンゴ」について、筆者も調べてみました。エルサルバドルのように、中央集権的な国家体制にブロックチェーン技術を取り入れた仕組みとなりそうですね。
国によっては国民の多くが銀行口座を保有していないところもあるため、ブロックチェーン技術の普及は、国民が金融サービスを受けられるようになることが期待できると思います。
トレードについてですが、7月18日週に入り、ビットコインがレンジ相場を上抜けしている様子が見られました。再び上昇トレンドになれば、エントリーチャンスも出てくると考えられます。
2021年に引き続き、出場します! 投資対象として仮想通貨に興味を持つも、その技術の持つポテンシャルに惹かれDapp開発に着手。投資家としてだけでなく、開発者としての視点からの投資戦略も立てていきます!
Twitter: https://twitter.com/dennoah_jo
◆ まだ、動かず......(東京大学 迫嵩明さん)
暗号資産市場は方向感がつかめない状況が続いており、取引を見送りました。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
7月15日現在 1万円
学生投資連合USIC代表
高校3年生の時に株式投資のおもしろさに目覚める。日本株、米国株、仮想通貨投資を行う。長期的に伸びる市場でビジネスを展開している企業に長期投資することをモットーとしており、テンバガーを虎視眈々と狙っている。 金融を学ぶ「おもしろさ」、投資を始める「意義」を多くの人に知ってほしいと切に願う。
学生投資連合USIC:https://www.usic2008.org/
◆ アドバイザーのプロフィール
フリーランスのWebディレクター。金融系メディアを対象に執筆やディレクター業務に従事。投資歴7年。FXと仮想通貨をメインにトレードしています。ファンダメンタル分析よりかはテクニカル分析を好む。最近はNFT(非代替性トークン)の詐欺事例、法的問題について関心あり。
大学対抗戦「暗号資産バトル」競技ルール
・元本は1万円。
・通貨の選定は自由。ただし、国内の事業者で買える暗号資産に限定。
・レバレッジはかけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)とする。
・元本割れは1回まで。2回、資産を失った場合は、その時点でリタイアとする。
・運用期間は6か月。最終週時点での資産増減額で順位を決める。
学生投資連合USIC
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/