大麻事犯は20代、20歳未満とも8年連続の増加
だが、最も若年層への薬物汚染が進んでいるのが大麻だ。30歳未満の大麻事犯は、前年比432人(12.0%)増加し3934人となった。大麻事犯全体の5783人のうち、68.0%を30歳未満が占めている。
20代は同322人(12.3%)増加し2934人になった。そして、20歳未満は101人(11.2%)増加し、初めて1000人に達した。20代、20歳未満とも8年連続の増加となっており、2ケタ以上の増加が続いている。
大麻汚染は特に20歳未満に大きな広がりを見せており、高校生が前年比30人(18.9%)増加の189人含まれているほか、中学生も8人含まれている=表3。
入手の難易度によるものなのか、覚せい剤に比べて、若年層への大麻の拡散度合いは非常に高い状況が続いている。特に、高校生への拡大が顕著で、2014年にわずか18人だった検挙数は2021年には189人と10倍以上になった。この間、年率45.5%平均で増加したことになる。
なお、覚せい剤事犯の再犯率は66.9%で、7970人の検挙者数に対して、5338人が再犯者だった。覚せい剤事犯の再犯率が低下したのは、15年ぶりのこと。
こうした薬物乱用防止対策として、厚労省では厚労大臣を議長とし、関係閣僚で構成される薬物乱用対策推進会議により、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」を推進している。
同戦略では以下の5項目を目標に掲げている。
(1)青少年を中心とした広報・啓発を通じた国民全体の規範意識の向上による薬物乱用未然防止
(2)薬物乱用者に対する適切な治療と効果的な社会復帰支援による再乱用防止
(3)薬物密売組織の壊滅、末端乱用者に対する取締りの徹底及び多様化する乱用薬物等 に対する迅速な対応による薬物の流通阻止
(4)水際対策の徹底による薬物の密輸入阻止
(5)国際社会の一員としての国際連携・協力を通じた薬物乱用防止
しかし、少なくとも(1)に掲げた青少年に対する取り組みは、薬物事犯の検挙数を見る限り、成果を上げているとは言えず、より一層の取り組みで青少年への薬物汚染を防ぐ必要がありそうだ。