「ふとり」教育に疲弊...東洋経済「学校が崩れる」、ダイヤモンド「BtoB製造業」を特集&安倍晋三元首相緊急レポートも

BtoB製造業が日本の輸出を支えている

   つづいて、「週刊エコノミスト」の特集は「本当に強いBtoB 機械 部品 素材」。米国、中国、ドイツなど工業国相手に貿易黒字を稼ぐ、機械、ハイテク部品、高級素材の基幹3業種に光を当てている。

   日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏が、82兆円(2021年)と史上最高となった日本の輸出の構造について解説している。日本の輸出を支えるのは、世界最強のBtoB(企業間取引)製造業だという。

   家電や乗用車などのBtoC(消費者向け取引)分野が花形だったのは昔の話で、今は輸出の7割以上が、一般機械、化学製品、鉄鋼や非鉄金属、乗用車を除く輸送機器などの、企業ユーザー向け製品である。

   電気機器の輸出の中身はBtoCの自社ブランド品から、他社ブランドに組み込まれるBtoBのデバイスへと様変わりした。

   日本の輸出の大半を占めるハイテク部品、高機能素材、製造用機械の企業を紹介している。ハイテク部品では、村田製作所が世界トップの積層セラミックコンデンサや、三菱電機、富士電機、ロームなどのパワー半導体、ソニーグループが世界首位のイメージセンサーといった電子系だ。

   高機能素材では、自動車部品などに使う樹脂「MMAモノマー」で、世界トップの三菱ケミカルグループ、半導体素材のシリコンウエハーで世界市場を寡占する信越化学工業とSUMCO、航空機に使われる炭素素材で世界首位の東レなどを挙げている。

   輸出額では最大項目となった一般機械(16.4兆円)は、世界に販路を広げたことで、昔ほど国内景気の好不況に左右されなくなっている。好例が製造用機械で、ファナック、安川電機、DMG森精機などの工作機械、東京エレクトロンなどの半導体製造装置などが該当する。

◆「円安は輸出企業に負担」

   藻谷氏は「円安は輸出企業に負担」だと考えている。化石燃料の輸入代金を機械的に上昇させ、電気代や燃料費経由で製造コストを押し上げるからだ。

   円安によって、輸出売り上げやドル建て資産の円換算額は、計算上は増えるが、世界の投資家はドル換算額で見ているので、「円換算額で増益」と言っても白けるだけだ、と書いている。

   そして、「異次元の金融緩和」に伴う円安により、9年間で2割以上の経済力縮小という現実をもたらしたアベノミクスを批判。「日本経済を支えているのは金融資本ではなくBtoB製造業であるという現実に、政治はいつ気付くのか」と提起している。

   このほか、京都のものづくり企業(日本電産、村田製作所、京セラ、オムロンなど)の強さの源泉を探った、京都新聞報道部記者の柿木拓洋氏のレポートも興味深かった。「他社のまねをせず、継続こそ強さ」という企業風土は京都の伝統文化が生んだという。

   「ほんまもん」へのこだわりが京都のBtoB製造業の強さの秘密という見解は示唆に富んでいる。

(渡辺淳悦)

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