「ふとり」教育に疲弊...東洋経済「学校が崩れる」、ダイヤモンド「BtoB製造業」を特集&安倍晋三元首相緊急レポートも

教員不足が招く学校の異常事態

   さて、「週刊東洋経済」の通常の特集は「学校が崩れる」。教員不足が招く、公教育の異常事態に警鐘を鳴らしている。

   文部科学省の調査では、全国で最低でも2000人の教員が不足しているという。熊本県の不足率は小学校でワースト2位、中学校ではワースト1位だ。その原因について、熊本県教育庁学校人事課は「非正規教員の大幅減少」と「特別支援学級の増加」を挙げている。

   それまで非正規だった人たちが、団塊の世代の大量退職による影響で、正規採用されたことで非正規教員の数が減った。その結果、育休や産休で出た欠員を埋めきれなくなった。また、8人の子どもに1人の教員を充てる特別支援学級の数も増えたため、教師不足が起きた、と説明している。

   こうした状況は全国各地で生じている。

   都内の小学校に非常勤講師として勤務する82歳の女性は、今年欠員の代替で入るのは3度目だという。代替分は無給。自分が断れば学校運営がままならないことを知っているため、引き受けている。こうした個人の善意によって、公立学校はぎりぎりもちこたえているというのだ。

   休職者が増えているのも、教師不足の原因の一つだ。教員の精神疾患による病気休職者数は1990年からの20年間で約5倍に増えた。

   そして、教員志願者の数が年々減り続けていることも背景にある。競争倍率は3倍台にまで低下。不合格だった人を講師名簿に登録し、休職者が出た場合に非正規の臨時的任用教員として充てていたが、その層が薄くなっているからだ。

   教育ジャーナリストの佐藤明彦氏は、「公立学校の非正規教員の比率は5~6人に1人に上り、教員不足の元凶になっている」と指摘している。また、制度的な問題として、小泉内閣時代に、義務教育費国庫負担金の減少を挙げている。

   それまで国と都道府県が2分の1ずつ負担していたが、国の負担割合が3分の1に減らされた。その結果、多くの自治体は非正規教員の割合を増やし始めたという。「教員不足を解消するためにも、正規率を高めていくことが不可欠だ」と結んでいる。

   このほか、少子化でも特別支援学級はなぜ増えるのか? として、急増する「発達障害」についてレポートしている。

   この13年で10倍になったが、「普通学級での指導や支援が工夫されないまま、安易に支援学級への転籍が検討されるケースがある」という専門家の声を紹介している。さらに、発達障害とされる子供に対して、安易に向精神薬が使われている、と警告している。

   このほかにも、「ゆとり」教育の反動で教育内容が増えた「ふとり」教育に疲弊する現場や、中学受験が激化し広がる格差など、公教育のさまざまな問題を取り上げている。充実した教育特集となっている。

姉妹サイト