さらなる定着へ...「グルテンフリー」にも注目
そもそも米は9割超が国産で、小麦などの輸入品に比べ、価格や供給は安定している。
しかし、人口減少などで米離れは年々進んでおり、米の一人当たりの年間消費量はピーク時(1962年)の半分以下の約50キロにまで減少している。米粉の活用が広がれば、米の消費が増え、食料自給率が上がるのではないかという期待もある。
さらに、米はグルテンを含まず、アレルギーの心配がない。最近では米粉を「グルテンフリー」の食品として見直す動きが強まっており、欧米でも関心を持つ人が増えている。
一方、価格の問題は依然大きい。
農林水産省が7月に発表した調査によれば、原料価格は米粉が1キロ当たり約50円、小麦粉は約60円と米の方が安い。
しかし、米は堅いこともあり、製粉コストがかかる。製品価格は小麦粉が同約110円に対し、米粉は120~390円程度になってしまう。ただし、今後、小麦がさらに高騰したり、米粉の利用が増えたりすれば、製品価格も米粉の方が安くなる可能性は十分にある。
米粉ブームは以前にも一度起きている。
2009年に製粉施設の建設などを促進する「米穀の新用途への利用の促進に関する法律」の施行で供給量が急増した。だが、その際は需要が広がらず、一時的なブームで終わってしまった。
ある流通関係者は言う。
「以前は小麦の代替品としか受け取られず、小麦価格が落ち着けば米粉への関心は薄れてしまった。今後はグルテンフリーなど米粉だからこその特色をいかにアピールできるかがポイントだ」
(ジャーナリスト 済田経夫)