鳥の目で見る、当時の様子
鳥の目線のように上空から立体的に地図を描いた「鳥瞰図」にも力を入れている。日本の鳥瞰図ブームを引き起こしたのは、大正から昭和にかけて活躍した鳥瞰図絵師、吉田初三郎である。ダイナミックで迫力のある構図で、増大な量の作品を遺した。
そんな初三郎の元弟子である金子常光の「京成電車御案内」(大正15年発行)を見せてもらった。蛇腹の冊子を開くと紙面には山や海、路線図が広がる。賑わう駅や広大な山々、土地の様子が感覚的に伝わってくる。当時の人も楽しい気持ちで眺めたことだろう。
絵葉書や小さな冊子からは、市井の人々の暮らしがビジュアルとしてダイレクトに伝わってくる。小さな紙の一枚一枚に、生き生きとした人々や街の活力が込められているように感じた。
(ながさわ とも)