残された小さな「紙もの」から感じる暮らしの賑わい...「絵葉書・旅行案内冊子」古書専門店の魅力【Vol.28 永森書店】

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   すずらん通りに面したドアを開け、奥行きのある店内に足踏み入れる。壁に沿った棚には「北海道」「青森」「秋田」...と、地名が書かれたクリアケースが並ぶ。

   ケースに整列してるのはビニールに入った小型の旅行案内の冊子である。奥へ進むと、全国各地の名所や街並みを収めたモノクロ写真の絵葉書が陳列されている。「永森書店」は旅行案内冊子、絵葉書の専門店だ。店主の永森健太さんにお話をうかがった。

扱うのは絵葉書・旅行案内冊子・鳥瞰図

   永森さんは古地図の品揃えで有名な老舗古書店「秦川堂書店」のご子息である。会社勤めを経て、古書販売の道へ進む。「秦川堂書店」で6年間経験を積み、独立を考える。ジャンルを絵葉書・旅行案内冊子・鳥瞰図に絞って、2002年に一ツ橋で開業。昨年(2021年)の6月に神保町に移転した。

   店内は棚ごとに絵葉書、旅行案内、地図と分けられている。植民地時代の現地資料や戦時資料、鉄道関連の書籍なども扱っている。主な顧客は、研究者や、地方の郷土資料館関係者、趣味で地元の郷土史を調べている方など、男性が多いという。実店舗に足を運ぶことで実際に手に取り、当時の印刷の風合いや質感も確かめることができる。永森さんは商品の状態にこだわりを持っていると話す。

地域ごとに分けられた旅行冊子
地域ごとに分けられた旅行冊子
なかざわ とも
なかざわ とも
イラストレーター
2016年3月学習院大学文学部卒。セツモードセミナーを経て桑沢デザイン研究所に入学、18年3月卒業。趣味は、宝塚歌劇団、落語、深夜ラジオ、旅行。学生時代より神保町に惹かれ、現在フリーペーパー「おさんぽ神保町」の表紙や本文のイラストを手掛けている。1994年、東京都生まれ。
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