暗号資産市場は方向感がつかめないまま、推移している。北海道大学の花野直樹さんは、学業が忙しくなってきたこともあって、「リアルタイムで(相場を)見られてなかった」という。東京大学の迫嵩明さんも学業が忙しいことから、取引を見送り。
明治大学の城正人さんも取引は見送り。継続保有しているFCRコインが想定よりも上昇しなかった。FCRコインはそのまま保有。値上がりをじっと待つ。
株価の動向も重要?(北海道大学 花野直樹さん)
今週(7月4日週)は仮想通貨市場も株式市場も上昇した一週間だったと思います。自分のトレードルール的にも7日に価格が200MA(日足チャートの場合、200日間の価格の平均をグラフに表したもの)より上、1時間足MACD(マックディー)がゴールデンクロスをして買いのサインが出たのですが、今週は少し大学が忙しく、リアルタイムで見られてなかったのと、そこから少し上昇した後で上値追いをするかということを考えた時に、後から書きますが米国のリセッション懸念やISM製造業指数、FOMC議事要旨などイベント盛りだくさんだったのでエントリーは見送りました。結果的には、そこからビットコイン(BTC)は約8%上昇しました。
仮想通貨市場の今後の展望についてですが、今年に入ってからビットコインは米国の株価指数のS&Pやナスダックとほぼ同じ動きをしています。よって株式市場がどうなるかという点で分析をしてみました。
今、この金融引き締めが行われている状況で株が上がらないことにはそれ以上のリスク資産といえる仮想通貨は上がってこないと思います。注目のニュースは、6日に公表された米国の1~3月期国内総生産(GDP)成長率がマイナス1.6%(確報値)となり、リセッションにリーチがかかったことでコモディティ価格が下落するなど不穏なニュースが出ています。ただ、コモディティの下落はインフレが落ち着くという意味でもあり、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で今後の利上げの見通しがある程度明確になったからか、株価は上昇しました。
しかし、ここから株価がぐんぐん上がっていくかといわれると何とも言えず、インフレや企業の業績がどうなるかを注意してみていく必要があると考えています。
インフレが落ち着くなら短期的に上昇を見てもいいかもしれませんが、まだまだ金融引き締めの局面であり、個人的に株価も仮想通貨も方向感が見えなくなってしまいました。来週からはCPI(消費者物価指数)やFOMCの結果を待ち、それを受けて米国の株価指数がどうなるかがポイントになってくると思います。そこを見極め、上でも下でも大きく動いていくなら、うまくエントリーしていきたいと考えています。
◆ 今週は、取引を見送りました。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
7月8日現在 9754円
◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
仮想通貨と株式市場は今週(7月4日週)の一時期大きく上げた後に、やや下げていますね。両者のチャートを見比べると、仮想通貨は株式に影響されて動いている様子が感じられます。
今後の株式市場(注目すべきはアメリカ株)ですが、FRB(米連邦準備制度理事会)は3月からインフレ対策として利上げを継続しているのに対して、消費者物価指数は上昇を続けています。2022年5月の物価は前年比8.6%となっており、現時点ではインフレ対策の効果が見られないように思われます。
不透明感のある株式市場ですが、引き続き動向を追っていきたいですね。
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!
FCRコインは想定より上昇せず(明治大学 城正人さん)
方向感のつかめない価格推移が続いています。一たん、今週(7月4日週)は様子見とし取引はしませんでした。
しかし、イーサリアムの取引手数料がここ数年ではみられなかった水準まで低下したこともあり、今回は手数料についてフォーカスしていこうと思います。ガスの仕組みはイーサリアムの価値の源泉ともいうべき仕組みでもあるので、投資するうえで無視することはできないでしょう。
◆ Gas(ガス)ってなんだ?
仮想通貨への投資を行う際に切っても切り離せない関係にある「手数料」。仮想通貨の送信などイーサリアムブロックチェーンへデータを書き込む際には必ず手数料がかかります。手数料の額はガス価格、ガス使用量の計算式で計算できます。
現実の世界で例えるなら、ある区間をクルマで走行するのに必要なガソリンの量がガス使用量、ガソリンの価格がガス価格といったところ。基本的にガス使用量は増減しませんが、需要状況によりガス価格が増減します。
手数料はイーサリアム(ETH)やBSC(バイナンススマートチェーン=海外取引所バイナンスが提供している独自チェーン)、仮想通貨「アバランチ」(AVAX)などブロックチェーンにデータを書き込む際には必ず必要になります。したがって、ブロックチェーンの利用が活発になれば手数料としての需要が増加するため、ETHやBNB(バイナンスコイン)、AVAXなどのネイティブトークンの価格上昇が見込めます。
◆ 利用者の増加へ向けて
「Dapp」と呼ばれるブロックチェーン上のアプリケーションを利用する際にも手数料が必要となります。しかし毎回毎回、手数料として仮想通貨を支払うことは億劫です。さらに、ユーザー体験を向上させ、仮想通貨に詳しくない人の利用も促進するためには、やはり手数料が不要の仕組みづくりが必要でしょう。 そこで解決策として存在しているのが「メタトランザクション」と呼ばれる仕組みです。ユーザーはブロックチェーンにデータを書き込まず、手数料の必要ないオフチェーン署名を実行。ユーザーの行いたかった行動(ブロックチェーンに書き込む)は署名を検証したコントラクトが自動で執行、手数料の肩代わりを行って貰える仕組みです。
使用の際のガス代を肩代わりするメリットとしては「Dapp」ユーザーの増加に寄与しうるという点でしょうか。さまざまな仕組みの開発で仮想通貨に詳しくないユーザーを取り込むことは非常に重要だと考えています。今後も注目していきたいと考えています。
◆ まとめ
今回は取引の際の手数料についてフォーカスしてきました。この仕組みを実際に利用して動いているDeFi(分散型金融)も多くあります。今後に注目ですね。 今週は方向感の掴めない市場であったため取引は控えました。保有のFCRコインは想定よりも上昇しませんでしたが、底堅い値動きを見せていますからポジションは継続としました。
資産残高:現金(8486円)とFCRコイン2400枚(1320円) =現在の資産評価額 9806円
(FCRコインを2400枚保有中。現在1枚0.55円のため2400枚で評価額は1320円→取得価額1330円に対して10円の含み損)
保有する暗号資産 FCRコイン
前週からの損益 マイナス120円
7月8日現在 9806円
◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
取引所での取引を利用していると、ブロックチェーン利用時の手数料を忘れがちになるので、ガス代は良い着眼点と思います。トランザクション数やイーサリアム自体の下落などの理由か、ここ最近でガス代は大きく下げていますね。
これまでイーサリアムはガス代高騰が問題視されており、バイナンススマートチェーンやソラナ、ポルカドットなどのような「イーサリアムキラー」に取って代わられることを心配されていましたが、現在も変わらずDeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)取引に活用されているため、今後も多くのユーザーに利用されると推測されます。
しかし「ガス代下落の影響でPoS移行が遅れるのではないか」とも言われているので、今後のイーサリアムのアップデートが予定通り実施されるかどうかが懸念されます。
2021年に引き続き、出場します! 投資対象として仮想通貨に興味を持つも、その技術の持つポテンシャルに惹かれDapp開発に着手。投資家としてだけでなく、開発者としての視点からの投資戦略も立てていきます!
Twitter: https://twitter.com/dennoah_jo
◆ 取引を見送りました(東京大学 迫嵩明さん)
学業が忙しいこと、暗号資産市場が定まらないことから、取引を見送りました。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
7月8日現在 1万円
学生投資連合USIC代表
高校3年生の時に株式投資のおもしろさに目覚める。日本株、米国株、仮想通貨投資を行う。長期的に伸びる市場でビジネスを展開している企業に長期投資することをモットーとしており、テンバガーを虎視眈々と狙っている。 金融を学ぶ「おもしろさ」、投資を始める「意義」を多くの人に知ってほしいと切に願う。
学生投資連合USIC:https://www.usic2008.org/
◆ ◆ アドバイザーのプロフィール
フリーランスのWebディレクター。金融系メディアを対象に執筆やディレクター業務に従事。投資歴7年。FXと仮想通貨をメインにトレードしています。ファンダメンタル分析よりかはテクニカル分析を好む。最近はNFT(非代替性トークン)の詐欺事例、法的問題について関心あり。
大学対抗戦「暗号資産バトル」競技ルール
・元本は1万円。
・通貨の選定は自由。ただし、国内の事業者で買える暗号資産に限定。
・レバレッジはかけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)とする。
・元本割れは1回まで。2回、資産を失った場合は、その時点でリタイアとする。
・運用期間は6か月。最終週時点での資産増減額で順位を決める。
学生投資連合USIC
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/