「離島防衛や災害救助での活躍を」 運動性能と信頼性の高さへの矜持
今回、国交省や海上保安庁から受注した新型ヘリも、両省庁が旧モデルに当たる「BELL 412EP」を保有しているため、「既存リソースの活用等、スムーズな導入・移行が可能になる」として、採用されたのだという。
つまり、旧モデルの交代時期がくれば、新型ヘリに更新する可能性が高く、スバルにとっては保守・点検を含め、安定したビジネスにつながるわけだ。
スバルは災害派遣などで活躍する新型ヘリについて、「日本の複雑で狭隘な地形でも人命救助を可能とする。離島防衛や災害救助でも活躍が期待される」と、運動性能と信頼性の高さを強調する。
この考えは、「走り」の楽しさと安全性を重視するスバルのクルマづくりの哲学そのものだ。
スバルの前身は、戦前の名門航空機メーカー「中島飛行機」だ。第2次世界大戦中は「隼」や「ゼロ戦」などの戦闘機を手掛け、戦後は自動車メーカーに転身した。現在、日本の自動車メーカーでヘリコプターを開発・生産するのはスバルだけだ。
果たして中島飛行機の伝統とDNAを受け継ぐスバルが、新型ヘリをビジネスとして成功させることができるのか。文字通り「チャレンジングな取り組み」の行方が注目される。(ジャーナリスト 岩城諒)