株式相場は年末にかけて落ち着きを取り戻す?
一方、米国のインフレも今後鈍化していくのではないかと見るのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。石黒氏のリポート「米国の物価上昇は今後鈍化に向かう公算も」(7月14日付)では、米消費者物価指数(CPI)とともに国際商品先物指数(CRB)の推移グラフに注目した=図表2参照。
CRB指数は代表的な商品先物指数の1つで、原油や金、銀、アルミニウム、トウモロコシ、大豆など19商品で構成されており、世界の物価の動向を示す指標として使われている。
グラフを見ると、CRB指数は6月に入り、下降カーブを描いている。そして、石黒氏はこう指摘する。
「最近の物価上昇加速の主因となってきたエネルギー価格の伸びが今後鈍化に向かう可能性が高まってきたことも、米国のインフレの先行きを見る上で支援材料といえます。商品価格の総合的な動きを示すCRB指数は世界的な景気減速に伴う需要減少懸念から、6月の高値から15%超下落しているほか(再び、図表2参照)、全米ガソリン平均小売価格も同様に8%近く下落しており、エネルギーに起因した物価上昇に今後歯止めがかかることを示唆しています」
「CRB指数の前年同月比は伸び率が低下傾向にあることを考えると、同指数と連動傾向があるCPIも今後伸び率が鈍化に向かうと考えられます。実際にそうなってくれば、FRBの金融引き締めの手綱が緩むことも想定され、米国株相場は年末にかけて徐々に落ち着きを取り戻すとみられます」