「楽観」から「最悪」...4つあるシナリオのうち現状は?
ニッセイ基礎研究所准主任研究員の前山裕亮氏は、リポート「米国株式、4つのシナリオ」(7月14日付)の中で、S&P500種株価指数と長期金利の推移(図表1参照)、米国株式のリスク・プレミアム(金融商品のリスクの度合い)などを分析した結果、今後の米国経済の動きについて次の4つのシナリオを予想した。
(1)「インフレ収束、景気堅調」シナリオ=最も楽観的なシナリオ。長期金利が横ばい、株式リスク・プレミアムも横ばい。
(2)「インフレ長期化、景気堅調」シナリオ=これまでと同様に、長期金利の上昇が株価の重しとなる。株式リスク・プレミアムが横ばいとなるが、長期金利の上昇に伴って予想PER(株価収益率)が低下する。
(3)「インフレ収束、景気後退」シナリオ=景気後退に株式リスク・プレミアムの上昇とEPS(1株当たりの純利益)の低下によって、株価が下落する。ただし、インフレが落ち着くため、金融緩和期待から長期金利が低下しやすくなり、そのことがある程度は株価を下支えしてくれる。
(4)「インフレ長期化、景気後退」シナリオ=インフレと景気後退が同時に起こるスタグフレーションとなる。インフレが鎮静化しないと、金融緩和に舵を切りにくいため、(3)と比べて金融政策のサポートが期待できない。
そして、前山氏は、「6月上旬までは(1)の『インフレ早期収束、景気堅調』がメイン・シナリオだったが、6月中旬以降は(3)がメイン・シナリオとなっている。(4)の『インフレ長期化、景気後退』については現時点ではあくまでもリスク・シナリオといった感じ」としたうえで、こうアドバイスする。
「いずれにしても米国株式については楽観視できる状況ではなく、改めて現状の保有資産でリスクを取り過ぎてないかどうかについて、今一度、ご自身で確認することをおすすめする」