アクティビストの提案で上昇した株
「週刊エコノミスト」(2022年7月19日号)の特集は、「今こそ仕込む日本株」。インフレや急激に揺れる金融市場だが、目を凝らせば期待できる日本株の銘柄はいくつもあるという。
アクティビスト(物言う株主)などから株主総会で株主提案があった企業のうち、年初から7月4日までの株価の騰落率が日経平均株価を上回った主な銘柄を紹介している。
上昇率が32%とトップの滋賀銀行は、英投資ファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズから、大幅な特別配当を求められた。6~8位の中国銀行、岩手銀行、京都銀行も同様の提案を受けているという。
2位の三ツ星ベルトは、英ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドから取締役の報酬増額や最大58億円の自社株買いの提案を通告されたことが材料となった。
日本に参入しているアクティビストの数は、2014年の7社から今年6月時点で66社まで増えたという。アクティビストの力も借りて経営力を引き上げれば、日本企業には明るい未来があり、今こそが日本株の仕込み時かもしれない、としている。
マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆さんは、「インフレは賃金上昇の呼び水になり、日経平均株価は年末に3万1000円の高値になる」と予測している。岸田政権の「資産所得倍増プラン」によって家計の預貯金1000兆円がついに動くと見ている。
デフレでは「現金が王様」だったが、インフレの時代になれば、投資教育を受けなくとも、自然とおカネは厳禁から投資へ流れ出すというのだ。1000兆円のわずか1パーセントでも株式市場に流入すれば、莫大な買い主体が生まれることになる。
特集では、経済再開で期待できるレジャーやテーマパークなどの30銘柄のほか、脱炭素や安全保障など「岸田関連」27銘柄を紹介している。
自民党大勝に終わった参議院選の結果を踏まえて、経済政策がどう動くかを見極めたいものだ。
(渡辺淳悦)