証券各社の投資判断引き下げ...逆風続きの銅ビジネス
もともと三菱マテリアルは2023年3月期連結決算の業績予想について、銅山の減産や前期のアルミ事業売却による収益の減少などを踏まえ、減収減益としている。売上高は前期比12.2%減の1兆5900億円、営業利益は31.7%減の360億円、最終利益は55.6%減の200億円という具合だ。
この業績予想には、ウクライナ情勢の悪化による欧州経済の停滞なども勘案しているようだが、米国の景気後退懸念による銅価格下落までは視野に入れていなかったようだ。
こうしたこともあって証券各社では最近、目標株価を下げる動きが相次いでいる。とくにモルガン・スタンレーMUFG証券は、7月4日配信のリポートで、投資判断を3段階の真ん中から最下位の「アンダーウエート」に格下げした。
野村証券とメリルリンチ証券は7月に入って目標株価を引き下げた。野村は「高機能製品が全社の成長を牽引する状況はまだ見えず、投資魅力にはやや乏しい」と指摘した。
銅ビジネスをめぐっては、左派の大統領が誕生したチリの政府が銅鉱山への課税強化を行う方針であるなど、別の逆風も吹いている。
三菱マテリアルの株価が反転攻勢に出るには近年進めてきたリストラをさらに徹底し、稼ぐ体質をより明確にする必要がありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)