脱炭素&安定財源のため、環境関連税の増税を
一方、岸田首相が「新しい資本主義」を実現させていくためには、安定的な財源の確保が必要だ。そこで、脱炭素の取り組みを加速させるためにも「環境関連税の増税」を提案するのが、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の中田一良氏だ。
中田氏のリポート「『新しい資本主義」実現に向けて財源をいかに確保するか」(7月11日)では、気候変動に関する税収のGDP(国内総生産)比を国際比較したグラフを見せ、いかに日本の割合が低いかを示している=図表2参照。日本はトップのギリシャの約3分の1だ。
環境関連税のうち気候変動に関する税とは、揮発油税などエネルギー製品に対する課税や自動車税などのこと。GDP比をみると、欧州で高い国が多く、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均は2%なのに日本は1.2%にとどまる。
中田氏はこう指摘する。
「環境関連税の増税により脱炭素に向けた取り組みの加速が期待されるうえに、増収分は脱炭素に向けた取り組みを支援するための財源となりうる。現在は原油価格が高騰しており、環境関連税の増税は難しいものの、ガソリンなどの小売価格が落ち着いてくれば、増税を検討する余地が出てくるだろう。『骨太の方針2022』の記述からは財政健全化への取り組みが後退したとみることもできるなか、政府が安定的な財源を確保できるのか、注目される」