「黄金の3年」岸田政権、エコノミストが望む経済政策とは...物価高対策、ユニコーン企業ラッシュ、そして「普通の労働者」大切に

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「ユニコーン企業」を誕生させるスタートアップを

   さて、個々の具体的な経済政策については、エコノミストたちは何に注目しているのか。

   成長戦略の大きな柱として日本の産業競争力を強化するためには、世界経済を牽引するような「ユニコーン企業」を日本にどんどん誕生させるスタートアップ政策が必要だ、と訴えるのはニッセイ基礎研究所准主任研究員の鈴木智也氏だ。

   鈴木氏のリポート「岸田政権のスタートアップ政策と注目ポイント」(7月11日付)によると、世界のユニコーン企業は米国と中国に集中し、日本にはわずか5社しか存在しない=図表1参照

(図表1)世界のユニコーン企業数(ニッセイ基礎研究所の作成)
(図表1)世界のユニコーン企業数(ニッセイ基礎研究所の作成)

   ユニコーン企業とは、企業価値が10億ドル(1350億円)を超える、設立10年以内の未上場のベンチャー企業のこと。ギリシャ神話のユニコーン(一角獣)という幻の生き物に例えられるほど珍しい存在だったが、年々増え続けて、今や世界に1100社以上あるといわれる。

   鈴木氏は、

「過去の日本は、これらの革新的な技術を活かして、経済大国の地位を築くことができたが、いま世界経済を牽引するのは米中のビッグテック(巨大IT企業グループ)と呼ばれる存在だ。将来の成長産業を担うユニコーン企業を見ても、日本は米中に数で大きく見劣りする。このままイノベーションで後れを取れば、日本経済は世界の中で埋没することになりかねない」

と危機感をつのらせる。

   日本にもスタートアップへの投資を促すため、個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う「エンジェル税制」がある。しかし、欧米諸国に比べると不十分だと鈴木氏は指摘する。

新しいアイデアを持つスタートアップ企業を育てるには?(写真はイメージ)
新しいアイデアを持つスタートアップ企業を育てるには?(写真はイメージ)
「(米国では)スタートアップの初期段階、資産5000万ドル(約68億円)以下の企業に直接出資して、5年以上株式を保有すれば、売却時のキャピタルゲイン(資産益)が年間1000万ドル(13.6億円)まで免除される」
「日本と比べると、優遇規模が大きいほか、起業家や従業員が株式売却した際にも使える制度となっており、起業成功時のインセンティブを高める制度となっている。日本では、起業家などが株式売却する際には、通常と同じく20%の税率が適用されることになり、欧米に比べリスクに対する税制上のインセンティブという点で見劣りする」

   将来の礎となるような制度の構築が期待される。

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